現行安保条約調印から60年 いま何が問われているか

 現行日米安全保障条約調印から60年。日本政府は1月19日、飯倉公館で記念式典をおこなった。

 安倍晋三首相は「今や日米安保条約は、いつの時代にもまして不滅の柱。アジアとインド・太平洋、世界の平和を守り、繁栄を保証する不動の柱だ」と表明した。米国政府を代表してヤング臨時代理大使が、世界全体の平和,安全及び繁栄に不可欠な役割を果たしてきたことを讃えるトランプ米大統領のメッセージを代読した。

 外務省は、「今回のレセプションでは,旧・日米安全保障条約署名本書並びに,日米安全保障条約署名本書及び批准書の展示を行うとともに,旧・日米安全保障条約及び日米安全保障条約の署名式やトモダチ作戦安倍総理トランプ大統領海上自衛隊護衛艦『かが』訪問等の写真の展示を行い,日米安全保障条約60周年を祝福した」としている。

 2日前の17日には、日米両政府は「過去60年間の成果を賞賛するとともに、今後も日米同盟を強化し、日米両国が共有する価値と諸原則を堅持するとの揺るぎないコミットメントを改めて表明する」との共同発表を行っている。

 

 しかし、冷静に考えれば、トランプ米大統領のもと、本当に世界の平和と繁栄は保障されるのか、強い不安を覚えたばかりだ。このまま第3次世界大戦になるのではとツイッターでつぶやいた人もいた。安倍首相が9条改憲にしがみつくのは、本当に戦争をやりたいからだろうという声も聞く。

 メディアは、全体として安保体制肯定だ。なぜ、正面から、こうした市民の不安を取り上げ、本気で検討しないのだろう(日米同盟のありかたを問う記事、論評もないわけではないが)。

 日米安保体制は、集団的自衛権の行使を可能にした安保法制=戦争法以降、米国が地球規模で起こす戦争に日本が参加し、自衛隊が海外で武力行使する危険をかつてなく高めている。現行安保条約とともに締結された日米地位協定は、日本の航空法を米軍に適用しないとしてことから来る米軍機の騒音や低空飛行訓練、墜落事故にたいしても日本側の捜査を基本的に排除する、環境汚染が発生しても日本側が基地に立ち入りできないなど深刻な問題がさまざま起きている。安保条約と日米地位協定の両方をセットで見ることが大切だと思う。