普天間基地のPFOS流出で土壌サンプル採取拒否

 4月10日に普天間基地からPFOS含有消火剤14万リットル余が流出した件で沖縄県は基地内への立ち入り検査を求めていた。日米間の環境補足協定にもとづいて21日、県の立ち入り調査が実現し、消火剤が流れ出た排水路内の水を採取した。24日の立ち入りでは、土壌のサンプル採取を拒否され、持ち帰り検査することはできなかった。

 河野防衛相は24日、記者会見し、「普天間飛行場における泡消火剤の流出事故に関して、本日の朝9時から、防衛省沖縄防衛局が、外務省沖縄事務所、環境省沖縄奄美自然環境事務所、沖縄県及び宜野湾市による立入りの実施を行っております。環境補足協定第4条に基づくものであって、アメリカ側が行う格納庫周辺の土壌入れ替え作業の立ち合いを行う」と発表した。

 土壌のサンプル採取について、「我々としては、エプロンの反対側の芝のところ、そこにPFOSを含んだ水が流れていないか確認をするための土壌のサンプリングということについて調整をしている」と述べた。記者団の「米側としては汚染の可能性があるから格納庫周辺の土壌入れ替え作業を今日するということのようですが、一方で、原因究明をする場合、日本側にとって土壌を入れ替えられてしまえば、日本側としては追及しようがないという懸念はないでしょうか」という質問には、「今、米側がやろうとしているのはなぜ消火システムが作動してしまったか、なぜ格納庫の扉が閉まっていなくて外へ出てしまったか、そのシステムの問題についての調査をやってもらっておりますので、原因究明についてはそれが出た上で日本側としてしっかり精査したい」と答えた。また。「問題になっているのは排水溝の中に水が流れ込んで外へ出てしまった、そこの水のサンプリングはやらせてもらいました。問題は、排水溝に水がなだれ込んだから、反対側の芝にはPFOSを含んだ水がいってないよというところを確認するための土壌のサンプリング、これはやる必要があるだろうと思っておりますので、今、調整をしている」とも述べた。

 このやり取りだけでは、なぜ沖縄県が求めている土壌採取が受け入れられないのか判然としない。

 NHKは「24日調査では、県の職員などが、事故が起きた格納庫周辺の土壌を入れ替える作業を確認しました。一方、県は今回の事故による汚染状況を調べるため土壌のサンプルの採取を求めていますが、アメリカ軍は調整中だとして応じませんでした」と報道した。

 土壌の保管先について防衛相は「承知していない」と答えたが、琉球新報によれば、「掘り起こした土は県外で処分すると説明した」としている。また、同紙は、「米軍はこの日、格納庫そばの土壌を広さ約65平方メートル、深さ約15センチにわたって掘り起こして除去した。除去範囲は事故当時の状況や天候などに基づき米側が決めた」としている。