コロナ対策に全力挙げる沖縄県に、新たな困難持ち込む安倍政権

 沖縄防衛局は4月21日、名護市辺野古の新基地建設工事に関する設計変更を沖縄県に提出した。玉城知事は、「国土交通大臣の裁決の取り消しを求める抗告訴訟は現在も継続しており、現時点で、承認取り消しの適法性や裁決の違法性などにかんする裁判所の判断は何も示されておらず、承認取り消しの適法性に関する裁判所の判断がなされるまでの間は、埋め立て工事にかかわる作業を進めるべきではない」と述べたうえで、「申請書が提出された以上、法律による行政の原理のもと、当該申請に対する審査を行う必要があることから、申請書の内容を精査した上で、法令にのっとり、厳正に対応していきたい」と表明した。

  新基地建設は認められないとする沖縄県の方針は変わらず、今回の設計変更が大規模な地盤改良工事の追加や施工計画の大幅な見直し、それに伴う環境影響の再検討など多岐にわたることから、県は専門家に意見を聞いたり、必要に応じて防衛局に質問書を送ったりして厳正に審査するというスタンスを取る。

 河野防衛相は記者会見で「今回提出した変更承認申請書は、キャンプ・シュワブ北側の大浦湾における地盤改良工事の追加等に伴うものであり、沖縄防衛局において、技術検討会と環境監視等委員会の有識者の方々にしっかりと御議論をいただき、十分に検討された内容になっている」と主張した。しかし、防衛省が集めた「専門家」ではない専門家は、これまで非常に厳しい意見を提出している。立石雅昭新潟大学名誉教授もその一人。立石氏は、「(私たち沖縄辺野古調査団が)一番要求していたのは軟弱地盤の一番深いB27地点の力学的強度の測定です。調査をしない根拠を防衛省にただしても回答は不十分でした。科学的根拠が薄弱なまま工事を強行すれば護岸が崩壊する恐れがあり、工事は破綻するでしょう。工事をただちに中止し、調査・審議を尽くすべきです」と述べている(「しんぶん赤旗」4月22日付)。防衛省は、こうした専門家の提言を無視し続け、変更申請書を提出した。その内容が、どこまで耐えうるものなのか。徹底した検証が求められる。

 申請をおこなったタイミングも最悪だった。河野防衛相は「沖縄防衛局で用意が整ったということで、申請書を提出したということでございます。特に書類の提出ですから、あまりコロナとは関係ない」と記者会見で答えた。新型コロナ感染者が相次ぐ沖縄にあって、玉城知事を先頭に対策に全力をあげているときに、新たな困難を沖縄に持ち込むのか、まさに最悪のタイミングだ。