沖縄戦民間人犠牲者遺骨を遺族の元へ

 厚生労働省は2018年12月26日、「平成30年9月3日までに検体が提出された286件の遺族と、沖縄県の10地域で収容された遺骨のうちDNA鑑定が可能であった遺骨84体との間でDNA鑑定を行ったが、遺族と血縁関係を有する遺骨は特定できなかった」との結果を発表しました。一体でもいいから遺骨と遺族の血縁関係が明らかになり、沖縄戦で亡くなった方の遺骨が遺族の元に戻ればいいがと期待していたのですが、残念でした。

 旧日本兵の場合、軍の所属部隊を示す襟章や所持品(記銘された万年筆など)を身に着けていて、身元が特定されたケースがありますが、民間人の場合、そういうものを持っている人はほとんどいませんし、迫りくる米軍の包囲網から逃げ惑うなかで犠牲になり、大半の人が、いつ、どこで亡くなったか分からないということのようです。それだけに、DNA鑑定が遺骨と遺族を結びつける唯一の手掛かりとなります。

 具志堅隆松さんの働きかけで、厚生労働省は、遺族の希望があればDNA鑑定を行うとして、民間人にも門戸を閉ざさない対応をとりました。

 しかし、対象となった遺骨が84体と少なかったために、遺骨と遺族を結び付けるまでに至らなかったもので、さらに広げるべきだと考えます。

 [遺骨のDNA鑑定について]

 ・厚労省は、国立墓苑の収骨は、焼骨されており、DNAが取れないと言っているが、実際に鑑定したことはあるのか。焼いたときの温度が低かったため、DNAがとれる可能性があるのではないか

 ・国立墓苑ができたとき、それまで納骨されていた県内各地の慰霊施設から国立墓苑に移されているが、それは「分骨」という形だった。地元でも慰霊できるようにとの考えが働いたところもあったということらしい。どういうことかというと、大きな骨は国立墓苑に移したが、「残骨」は元の施設に残された。現在は、その「残骨」からでもDNAがとれるのではないか。

 [対象遺族]

 ・現在、遺族へのDNA鑑定に参加をと呼びかけているのは、具志堅さんら市民である。厚生労働省は、沖縄県と各市町村に依頼してもっと大規模にDNA鑑定を呼び掛けるべきではないか。そうすることが、沖縄の人たちに多大な犠牲を強いた日本という国の戦争責任の取り方の一つではないか。