辺野古の工事は進捗率1・4%

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                      (©沖縄ドローンプロジェクト)

 3泊4日の沖縄滞在でよく耳にしたのは、「辺野古の新基地建設は、みなさんが思っているほど、進んではいない」ということだった。写真は半年前なので、今はもう少し埋め立てが進んでいるが、キャンプ・シュワブの先端から左側の浅瀬で工事が進められていることがはっきり分かる。右側に軟弱地盤が広がっていて、こちらは手つかずだ。

 埋立ての進捗率は、1・4%だと現地で監視活動を行っている人たちはいう。キャンプ・シュワブゲートから土砂を搬入したダンプの台数、船で海上から運んだ量を毎日記録して割り出した数字で、きちんとした根拠を持っていると言う。新聞報道では、3・1%という数字も挙げられているが、どちらにせよ、数パーセントである。「工事は、どんどん進んでいて、もう後戻りはできないのだから、反対してもしかたない」という人がいるが、それは、実際とは大きく異なるのである。

 なぜ、浅瀬だけしか手がついていないのか。ここが大事なのだが、深さのある大浦湾側の軟弱地盤は、「マヨネーズ並み」と形容される。しかも、工事用の資材を置く場所の確保もむつかしいくらい広大だ。地盤改良工事が必要になるが、どのように行うのか。

 難工事になるのは間違いなく、それに何年かかるか、費用もそうと膨れ上がるのは間違いないが、どれくらいになるのか。「普天間基地の1日も早い危険性の除去」として行われる「普天間代替工事」なのに何年もかかるのは、政策上の誤りを意味するだろうし、「公共工事」で費用が青天井で膨らむことが許されるのか、そういう問題にもなる。

 仮に地盤改良ができたとしても、海面から70-90メートルの部分は、おそらく手をつけないだろうから、不完全な軟弱地盤の改良にすぎず、不等沈下を起こすことがありうるのである。もし不等沈下が起きれば、滑走路は使用不能となり、大規模な改修工事に迫られる。そういう不安が完全に払拭できなければ、辺野古に基地が出来ても米軍が普天間を手放すことはありえないのではないか。

 むろん、それだけではない。沖縄防衛局が大浦湾側に着手するには、工事の設計概要の変更を申請し、県に認可してもらう必要があるのである。環境や生物に配慮した工事にしますという計画をだすのだが、沖縄県は、厳正・公正に審査するであろうから、そういう条件に見合う計画になっているとは認められないという回答にならざるを得ないと思われる。サンゴの移植一つとってみても、成功した例がないのではないか。つい最近の報告でもサンゴ3群体が死んでいる。

 先回りして、「沖縄県が変更申請を認めなければ、国は、代執行裁判に訴えるのではないか。そうなったら最悪だ」と心配する人もいる。沖縄県がおこなった埋め立て承認の撤回を無効だと国土交通相が裁決したことは違法であり、撤回は有効だというのが沖縄県の立場だし、そうであるから、沖縄県としては、今おこなっている裁判が終わるまでは、沖縄防衛局が変更申請を出してきても受け付けることはできないと主張するのではないだろうか。裁判が集結し、国交相の裁決が有効だということが法的に確定したときにはじめて、次のステージに進むというのが、自然の流れだと思う。沖縄県が申請を受理しようとしないといっていきなり代執行だというのは、あまりにも乱暴だ。