辺野古促進意見書をめぐる動き

 普天間基地辺野古移設促進を求める意見書が今年、4つの議会で可決されていたことが琉球朝日放送の調べで明らかになった。琉球朝日放送は11月12日、この問題について「緊急リポート」した。

 4議会は、宜野湾市議会、八重瀬町議会、宮古島市議会、石垣市議会。

 八重瀬町議会の場合、6月議会に辺野古促進を求める側と工事中止を求める側から2つの陳情が出されていた。そのうちの促進意見書が議員の賛成多数で可決された。賛成した議員は、「埋め立て工事も進んでいて、国防の問題でもある。反対しても意味がないのではないか」「県民投票の民意はわかるが、国は聞いてくれるのだろうか」と話しているという。緊急リポートは、「(辺野古の)埋め立てに反対している、その民意が出ているのに、どうして町議会が辺野古促進決議をするのか?町民をないがしろにするにも程がある」という島ぐるみ八重瀬の会・沖本裕司事務局長の話も紹介している。

 リポートした琉球朝日放送の石橋記者は、「八重瀬町の県民投票の結果は反対が圧倒的でした。しかし、辺野古促進の意見書が可決されてしまうと町民全体が埋め立てに賛成しているように見えてしまいます。今回の4つの議会の動きは誰の声を聞いて仕事をするべきか、そんなことを問われていると思います。また、こうした4つの市と町の動きが政府に対しては沖縄は一枚岩ではない、本当は賛成している人もいるんだと受け取られてしまい、政府の都合の良いように使われるかもしれない怖さもあります」とまとめた。

 このリポートにはないが、実は、辺野古促進意見書を採択しなかった議会もあった。聞いた話では、議会開会前に賛成の議員と反対の議員が本音で話し合ったという。「沖縄戦で苦労し、もうこれ以上、沖縄に基地はいらないというのは、保守の方々も同じ気持だと思う。採決となれば、立場上、賛成せざるを得ないだろうから、審議未了で廃案という選択肢もあるのでは」と辺野古促進に反対の議員が働きかけた。そうした動きもあってであろう、採決に付されることはなかった。

 県民投票では、宜野湾市議会や石垣市議会などが2択では民意はつかめないなどとして反対し、首長が「議会の考えを尊重する」として県民投票不参加を表明。激しいせめぎあいの中、3択での全県実施にこぎつけた経緯があった。本土では、県民投票の全県実施が見通せない段階で、県民投票は失敗かと思った人が多かったが、沖縄では、住民がそれぞれの自治体で参加するよう声を挙げ続け、実施への合意をつくりだした。

 そこまでの大きな動きではないものの、辺野古促進意見書をめぐる動きでも、政治的立場を超えて、沖縄のアイデンティティーを守ろうとするベクトルが作用することが起きるのだろう。