米軍MC130J特殊作戦機部品落下事故の顛末

   2019年10月18日、米軍MC130J特殊作戦機から主脚の一部で、縦約90センチ、横約7.5センチ、重さ約3・6キロの「トルク管」が落下したとの情報が沖縄防衛局から沖縄県に伝えられたという。

 琉球新報は、「防衛局は18日午後10時前、県基地対策課にメールで『在京米大使館情報』として部品落下を通報した。県は『不確定情報』だと伝えられたため、情報の更新を待ち21日夕、県庁記者クラブに情報を提供した」と報じた。同神は、18日午前5時40分ごろ、同機が嘉手納基地に着陸後、機体の点検中に部品がないことが発覚したが、いつどのように脱落したのか、基地内のどこで見つかったのかは不明で、21日午後8時現在、米軍に問い合わせているが回答はないしている(21日の電子版)。

 沖縄タイムスは、「米側は防衛局に『ランディングギアの特性および当該機の飛行経路に鑑みれば、当該部品は嘉手納基地内、または海上で遺失した可能性が高い』と説明していた。米側は部品を落下させた機体の所属部隊や、事故原因、訓練の内容などの詳細を明らかにしていない」と書いている(22日付)。

 それから3日間は、新たな情報はなかったが、25日にNHK沖縄が「伊江島にある補助飛行場で見つかったと県に連絡が入った」とニュースを流した。「この機体は、伊江島補助飛行場と嘉手納基地の間で、滑走路を使って着陸後すぐに離陸するタッチアンドゴーの訓練を行っていたとしています。アメリカ軍は、この機体は、その後、飛行していないとしていますが、県は、整備不良で飛行中に落下した可能性もあるとして、引き続き事実関係の確認を急いでいます」

 この件に関連して玉城デニー沖縄県知事は、25日の定例記者会見で「事故から8日経過しても回答がない現状は、在日米軍に関わる事件・事故発生時の通報手続きの運用が不適合であることを示している」と米側の対応を批判した。「米軍側は点検・管理における責任を痛感して厳正に対処し、情報提供の要求に応え、今後の対応についても説明すべきだ」と求めた。

 米側が「伊江島で発見」と県に通報したのが知事会見の前か後か、確認していないが、定例会見でこの問題がだされるのは当然予想されるので、米側としても放っておくことはうまくないと考え、対応したのだろう。

 それにしても、重さ3・6キロの物体が頭の上に落ちてきたら、と思うとぞっとする。スパナ一つでも相当の衝撃力があり、重傷になると言われる。部品落下事故は人命にかかわる問題だという認識が米側にどれくらいあるのだろうか。当初、「海上か嘉手納基地で落下した可能性」とし、何日もたって「伊江島で見つかった」では、整備・管理の責任感の希薄さを指摘されるのは当然である。日本の国内法の規制を受けないで民間地上空を飛び回る米軍にたいする沖縄県民の怒りは、続くだろう。