相次ぐ米軍ヘリ不時着事故

 米軍UH1ヘリ、AH1ヘリの不時着事故について沖縄県議会米軍基地関係特別委員会が1月11日、開かれた。説明委員として出席した謝花喜一郎知事公室長は、事故の概要を説明する中で、「米軍機は、この1年間に約30件もの墜落・不時着・炎上・緊急着陸などを繰り返し」ており、「米軍の航空機整備、安全対策等について、大きな疑念と不信感を抱かせ続けてきたことは極めて遺憾」と強く米軍を非難した。事故の概要を次のように説明した。

 知事公室長:

 平成30年1月6日16時ごろ、米軍のUH1ヘリコプター1機が伊計島に、わずか2日後の8日16時45分ころ、AH1ヘリコプター1機が読谷村に不時着しました。両事故とも県民への人的・物的な被害は報告されていませんが、航空機関連事故は一歩間違えば人命・財産にかかわる重大な事故につながりかねません。
 普天間飛行場所属機をはじめ米軍機は、この1年間に約30件もの墜落・不時着・炎上・緊急着陸などを繰り返し、県民の不安は、これまでになく高まっており、日常的に米軍基地に隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に平穏な日常生活や生命に対する不安を与え、米軍の航空機整備、安全対策等について、大きな疑念と不信感を抱かせ続けてきたことは極めて遺憾であります。
 昨年12月のCH53Eからの部品落下事故を受け、県などが航空機整備、安全管理体制の抜本的な見直しを求めてきたにもかかわらず、日米両政府が一顧だにしないなかで、米軍がふたたびこのような事故を繰り返したことに強い憤りを禁じえません。
 県は1月6日と8日に、事故発生の報告を受け、基地対策課の職員を現地に派遣し、情報収集に努めるとともに、1月9日に富川副知事から第3海兵遠征軍司令官に対し、これまで県が求めてきた全航空機の緊急総点検とその間の飛行中止を確実に実施するとともに、航空機整備、安全管理体制の抜本的な見直しを図ることを強く求めました。
 また、特に今回の事故に関しては、原因究明がなされるまでの同機種の飛行中止、事故原因の徹底的な究明と速やかな公表、実効性のある再発防止策の実施を強く要請したところです。
 さらに富川副知事が同9日には、外務省特命全権大使沖縄担当、沖縄防衛局長、翌10日には内閣総理大臣内閣官房長官外務大臣防衛大臣に対し、同様の抗議・要請を行い、これらの要請内容を政府の責任で米軍に実現させるとともに、県が求める新たな協議会を設置するよう強く求めたところであります。

 

 委員会での審議は、多角的に行われ、興味深い議論がいくつも展開されたが、ここでは、沖縄県は米軍から事故についてどのような説明を受けたかという委員の質問にたいする知事公室長の答弁を記す。

 

 委員:

 緊急着陸で、計器の異常と聞いているけれども、原因について米軍から報告がありましたか。
 知事公室長:

 読谷の方ですけれども、夜の10時過ぎだと思います。防衛省を通じて米側がよく朝の7時30分に離陸するという第1報がございました。翌朝7時半というのは、公務が再開されていませんし、不時着した地域は、読谷村嘉手納町の共有の施設と伺っていますが、そういった所に対して十分な謝罪等と、そのうえで、こういうことで安全性が確認されているので基地に戻りますというような説明があったうえでの対応であれば理解できるわけですが、第1報で、メールで、そういった話があったものですから、これは我々としては認められないということで、即座に、夜でしたが、沖縄防衛局の方に電話しました。
 沖縄防衛局も同様の認識はしているけれども、なかなか動かないんだということがありましたので、富川副知事にその旨伝えました。
 富川副知事は、夜11時ころになっていたと思いますが、ニコルソン中将に電話いたしました。ニコルソン中将から追って連絡があり、翌朝飛ぶんだと、で県民への説明は沖縄防衛局を通してやるんだというような説明がございました。
 翌朝7時半といっていましたが、7時22分には離陸しているわけですが、沖縄防衛局に確認しましたら7時21分に飛びますという話があったということです。そういったなかで昨日、米側からマスコミにリリースがあったわけでございます。原因は、テールローターの電子系統の異常だといったことがあったわけですが、こういった対応では、まったく県民は不安、不信感は拭えるどころか増幅するんだというようなことを強く、昨日も富川副知事から外務、防衛両政務官に申し入れています。
 やはり、情報の提供をしっかりやっていただく、本来、あってはいけないことですが。情報の提供をしっかりやっていただかないと、県民の不安はますます募るんだということを強く申し入れました。
 これにたいして防衛省からは、この点については十分認識しているので、情報提供のあり方については、今後検討する必要があるというような説明をいただいたところであります。

 

 同委員は、伊計島の方についての経緯も聞いた。

 

 知事公室長:

 UH1の事故原因の米側からの説明は、メーンローターの回転速度超過に対する警告表示が点灯したということでした。警告灯が点灯した原因など、具体的な原因は調査中ということで、その視点で判明できなかった。その中でヘリを吊り下げてホワイトビーチまで運んだというように認識しております。

 

 各委員からの発言があり、質疑が終わったところで、委員長から米軍に対する抗議決議と内閣に提出する意見書の案が各委員に提示された。持ち帰り協議となった。