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米軍基地から流出したと考えられるPFOS(1)

 沖縄県環境部は2016年12月17日、「有機フッ素化合物環境中実態調査結果について(中間報告)」を発表した。
 今年1月18日に県内の河川の一部で有機フッ素化合物(PFOS)が検出されたことを県企業局が公表。国内では原則使用禁止となっているPFOSが米軍基地から流出している可能性があることから、県環境部が、普天間基地周辺や那覇空港など35地点での測定を行うことになった。
 8月から9月に採取した夏季の水質調査の結果では、普天間基地周辺で、米国環境保護庁が設定した飲料水に関する生涯健康勧告値を超えたところが3カ所確認された。
      普天間基地・チュンナガー 1200ng/L
      普天間基地・ヒヤカーガー180ng/L
      普天間基地・メンダカリヒージャーガー680ng/L
 これらの地域で地下水を利用して栽培されている農作物からは PFOS 等は検出されなかったことから、農作物への影響は無いことが確認された。
 県環境部は、引き続き冬季調査を行い、季節的な変動の有無を確認するほか、次年度以降も継続的なモニタリング調査を行うとしている。また、県環境部から沖縄防衛局を通じて米軍に対して普天間飛行場における PFOS 等の過去及び現在の使用・管理実態等を問い合わせるとしている。
 
 PFOSに関するこの1年の動きをまとめてみよう。

●県企業局が嘉手納基地周辺でPFOSが検出されたと発表
 1月18日、県企業局は「企業局水源地における有機フッ素化合物の検出状況について」記者発表をおこなった。有機フッ素化合物(PFOS、ピーホス)は、半導体用反射防止剤・レジスト製造、金属メッキ処理剤、泡消火剤、航空機用作動油などにかつて使われていた炭素・フッ素結合を持つ有機化合物の総称である。企業局は、PFOSの毒性について「明確な判断は示されていない。急性毒性はあまり強くない。発ガン性は国際主要機関おいて、評価分類が示されていない。しかし生物実験では、反復投与による死亡、体重及び臓器重量の変化等が示されている」と説明している。日本国内では、原則使用禁止になっている。米国では、暫定健康勧告200ng/L、要報告濃度40ng/Lの規制値が設定されている。
 2014年2月から2015年11月のPFOS検出状況は、▽北谷浄水場浄水15~80ng/L (平均30ng/L)▽北谷浄水場原水1~73ng/L (平均25ng/L)▽比謝川取水ポンプ場41~543ng/L (平均207ng/L)▽長田川取水ポンプ場3~408ng/L(平均88ng/L)▽嘉手納井戸群集合水41~100ng/L (平均58ng/L)▽川崎取水ポンプ場44~68ng/L (平均61ng/L)▽北谷浄水場以外の浄水場原水・浄水1~1ng/L であった。発生源の可能性について、「比謝川、長田川取水ポンプ場及び嘉手納井戸群においてPFOS濃度が高く、嘉手納基地内から比謝川に流入する大工廻川|において高濃度(l,320ng/L)が検出されていることから、発生源は嘉手納基地の可能性が高い」とし、「沖縄防衛局を通じ米軍に対して、過去に遡ってPFOS使用の有無を確認し、現在もPFOSを使用し基地外へ流出している実態が明らかになれば、使用の中止又は適切な処理を申し入れする」と今後の県の対応を示した。
 県企業局は給水している市町村を対象に説明会を20日に開いた。企業局はピーホスが法で原則製造・輸入・使用が禁止されているが、国内の規制基準がないため海外の基準に照らし、ただちに危険とは言えないと強調。「法にのっとり、安全な水を送っているが、厳正に対処していく必要がある」として、原因の特定と改善を急ぐ考えを示した。また、原因究明までの間、本島北部のダムや河川からの取水を増やし、北谷浄水場活性炭を使ったPFOS除去に取り組むことなど、同物質の濃度低減化策を説明、現在使っている活性炭の更新間隔を短縮することが必要になり、1億円単位での負担が増えるが、平良企業局長は「安心のためにはコストをかけても取り組まねばならない」と説明した。

 ●県企業局が沖縄防衛局に照会
 翌21日には、企業局は、防衛局にたいし①現在米軍嘉手納基地においてPFOSを使用している実態があれば、その使用を直ちに中止するとともに、適切な対策を取るよう米軍に働きかけること②現在PFOSを使用していなくても過去に使用していた実態があれば、その使用履歴を明らかにするとともに、その対応策を示すよう米軍に働きかけること③県による水源水質検査のための基地内への立ち入り及びサンプリング採取を認めるよう米軍に働きかけること.―の3点を文書で求めた。