地崎東川の個人別給与精算表(6)

2 表の概要

 賃金精算表は、国会図書館憲政資料室でコピーしたものだが、3枚分の名簿が欠けている。これはコピーの際の不手際によるものか、GHQ/SCAP文書自体が欠けているのか、まだ確認できていない。近々確認するつもりである。逆に重複したページが数枚ある。片方は誤った通し番号を棒線で消して書きなおしている名簿であり、他方は書き損じのない清書し直したものである。

 『資料中国人強制連行の記録』中の名簿では、事業場での死亡者については、後ろにまとめて掲載している。しかし精算表は、「入れ替え」はせず、「適要」に死亡と書き込みをしている。前者は、最後の死亡者である「王束昌」の死後(4511月4日以降)に整理されたが、後者は、事業場到着時の隊編成を反映した名簿をもとにしている。

 船中死亡者および大阪で死亡した者については、精算表からは省かれている。事業場に着く前であるため、給与計算の必要がないからである。ところが大阪港愛病院で死去した「路永」の名前が精算表の128番にあり、「諸経費2622銭差引622銭」と記載されている。この事情は不明である。

 『資料中国人強制連行の記録』中の名簿と精算表に書かれた名前が一部異なっている。李宗福(表)―李福宗(記録)、張修道(表)―張道修(記録)、趙四明(表)―趙思銘(記録)、張国文(表)―張克文(張国文)、刑更臣(表)-那更臣(記録)などである。どちらも転記する際に誤記したのであろう。