オホーツク民衆史講座と中国人強制連行(1)
『オホーツク民衆史講座100講記念』という書籍を入手しました。表紙に使われている写真は、網走管内留辺蘂町金華の「常紋トンネル工事殉難者追悼碑」に手を合わせている林隆弘尼です。
網走・旭川間の鉄道トンネル付近から発掘された50体以上の人骨――囚人に代わって拘禁労働の主力となっていった「タコ」と呼ばれる土工夫たちの遺骨でした。
「七五年五月二八日、前年につづいての第二回の発掘調査を、ミサノさんが人骨を見たとトンネル近くの沢で行なった。…案内されて現地に着いた三六人は、熊笹を刈り凹地を見つけてはスコップで掘った。雨雲が低くたれこめる林の中で、林隆弘さんら四人の尼僧が、白い手甲・脚絆に墨染めの衣を着、菅笠をかぶって読経しつづけた。…しばらくして、『出たッ』の声に振り向くと、二本の太い骨だった」(小池喜孝『常紋トンネル』)
オホーツク民衆史講座は、地域の民衆の側からの歴史の掘り起こしを進めようと1970年代から始められました。所収の「講座の歩み」を見ると、「女性史入門講座」「北見近現代史講座」「戦前の農民運動史」「タコ部屋」「生活綴り方運動」「井上伝蔵の最期」「自由民権とアイヌ」「色川氏を囲む民衆史交流会」などのテーマでひらかれています。
中国人強制連行に関連しては「日中戦争40周年三国人民連帯 講演と証言の夕べで殉難中国人38人、朝鮮人42名を発表」(1976年7月7日)、「太平洋戦争35周年 証言で綴る強制労働の歴史」(1976年12月11日)、「置戸・イトムカの中国人・朝鮮人強制連行・強制労働」(1979年8月18日)、「イトムカの朝鮮人中国人労働」(1981年10月25日)がとりあげられました。