米軍基地から流出したと考えられるPFOS(4)

  • PFOS流出問題に対する政府の対応

 PFOS問題は、国会でも取り上げられた。日本共産党赤嶺政賢衆院議員は2月25日の衆院予算委員会分科会で、北谷浄水場沖縄本島中南部の7市町村を供給先とする県内最大規模の浄水場で「県民の命と健康に関わる重大問題だ」と指摘し、国内で使用が禁止されている有害物質の流出は許されないとして、PFOSの使用中止を求めた。さらに、基地内への立ち入り調査とPFOSの使用中止を米側に働きかけることを政府に求めた。

 赤嶺議員は、「その後、米側からは何の対応策も示されていない」として、政府の基本認識をただすとともに、①PFOSの流出源を特定するために、嘉手納基地内の河川、排水路等からのサンプル採取を認めること、②PFOS含有の泡消火剤の使用の有無と使用頻度・数量を明らかにすること、③航空機や部品等の洗浄剤など、泡消火剤以外のPFOS含有製品の使用の有無と使用している場合の廃液の処理方法を明らかにすること、④PFOS含有の可能性のある物質が漏出した場合の対応策を明らかにすること、⑤過去の泡消火剤の漏出の際に日本側への通報を行わなかった理由を明らかにすること、⑥沖縄県と嘉手納基地の担当者レベルで継続的に調査・協議を行う連絡会議の設置を検討することを求めているが、米側からはいまだに回答が示されていない。ただちに回答を行うよう求めるとともに、米側の回答結果を明らかにされたい―と6点にわたって回答を求めた。

 政府の回答は

 「我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊が、環境保護及び安全のための取組を含め、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは当然であると考えている」

 「PFOSについては、化審法第二条第二項に規定する第一種特定化学物質に平成二十二年四月一日に指定され、他の物に代替することが困難である用途を除き、その使用が禁止されているところである。航空機や部品等の洗浄剤や作動油へのPFOSの使用は、当該代替することが困難である用途として認められていない」

というものであった。

 また、沖縄県から沖縄防衛局への照会事項については、「これまで米側に対し早期の回答を求めてきているところであり、回答があり次第、当該回答を同県に提示する考えである」としている。

 

 以上がPFOSに関する日本側と米側のやりとりの経過である。沖縄県がこれほど精力を傾注しても遅々として進まないのが米軍基地問題である。