米軍基地から流出したと考えられるPFOS(3)

  • PFOS問題解決のための調査・協議をおこなう連絡会議の設置を要請

 この米軍の回答書を受けて、県企業局は「疑義がある」として、次の内容の照会をかけた。

 1 企業局施設である嘉手納基地内の井戸群からサンプルを採取するために立ち入ることは、従来から実施していることであり今回の要請において新たに求めているものではありません。PFOSの流出源を特定するために、嘉手納基地内の河川、排水路等からのサンプル採取を認められるかどうか確認願います。

 2 PFOSを含有する泡消化剤を非含有製品に鋭意交換中であるとのことですが、 PFOS含有の泡消化剤を現在も使用しているのか伺います。泡消化剤は頻繁に使用するものでは無いと考えますが使用しているのであれば使用頻度及びその数量を明らかにするよう要請します。

 3 PFOS含有製品について泡消化剤についてのみ言及していますが、その他の用途にPFOS含有製品を使用している実態は無いのか確認願います(例えば航空機や部品等の洗浄剤など)。 また、使用している場合その廃液の処理はどうしているのか、未処理のまま排水溝等に排出していないか併せて確認願います。

 4 PFOS含有の可能性のある物質が漏出した場合、消防隊及び漏出対応チームが漏出をせき止めると回答にありますが、現実には大工廻川で高濃度のPFOSが検出されています。どのような対応をとっているのか、今後どのように対応していくのか具体的に回答願います。

 5 PFOS含有の可能性のある物質が漏出した場合、合同委員会の定めにより通報をするとありますが、過去の泡消化剤の漏出の際、日本側への通報はありませんでした。この理由を確認願います。

 6 この問題の解決のために、沖縄県と米軍嘉手納基地の担当者レベルで継続的に調査、協議を行う連絡会議の設置を検討願います。

 

 安慶田光男副知事と平良敏昭企業局長は2月22日、嘉手納基地を訪ね、PFOS問題解決に向けて県も交えた協議会の発足などを求めた。これにたいし、 第18施設群司令官のドウェイン・ロビソン大佐は、「上司に報告したい」と述べるにとどまった。同大佐は、個人的には、米軍としても対応が必要だと思ったようだが、通訳に上部との相談が必要だと助言を受けたらしい。

 

  • 県議会で「PFOSの汚染源は米軍基地の可能性」

 2016年2月16日の県議会で日本共産党の西銘純恵県議は、PFOS問題を取り上げ、「嘉手納基地内への立ち入り調査、基地内での使用履歴を明らかにさせるべきだ」と企業局長の見解を聞いた。平良局長は、「汚染源が嘉手納基地内という疑いが濃厚だ。立ち入り調査と履歴照会を文書で要請した。十分な回答が得られなかったため2月22日に安慶田副知事が米軍に申し入れに行き、県と連絡協議会を立ち上げるよう申し入れた」と答弁。

 西銘議員はさらに普天間基地も調査すべきではないかとただした。これにたいし平良局長は「普天間飛行場周辺に企業局の水源はありませんので、本来なら調査しておりませんと答弁したいところでございますけれども、ただ、さる1月21日に企業局が沖縄防衛局を通して米軍に要請した企業局水源において検出された有機フッ素化合物の対策について米軍側の回答が非常に遅かったということもあって念のため補足調査が必要と企業局長の判断と指示で、普天間飛行場に隣接する場所の湧水を1月下旬から今月中旬にかけて計3回に分けて採水し、検査を行った。その採集結果をつい先日受けましたけれども、残念ながら1㍑あたり概ね80ナノグラムのピーホスが3回とも検出されております。これは嘉手納井戸群とほぼ同等の値ということになります。ただあくまでこの調査は補足調査ということで調査ポイントを1カ所に限定していること、調査回数も3回と非常に少ないわけですので、企業局としては、原因をただちに普天間飛行場とするには、可能性はあると思いますが、検討が必要と考えております。住民の不安を払しょくするためには、今後とも継続的・全体的な調査が望まれると考えております」と回答した。

 

  • 防衛局は活性炭取り換え費用補償せよ

 嘉手納基地周辺の河川などから有機フッ素化合物(PFOS)が検出された問題で、県は対策として進めている北谷浄水場の粒状活性炭取り替えの費用を補償するよう、沖縄防衛局に求めていることが2月28日の県議会質問への町田優企業局長の答弁で明らかになった。県企業局は6月、沖縄防衛局に費用補償を求めた。防衛局から7月に「米軍とPFOSなどとの因果関係が確認されておらず、国内でPFOSの水道法上の水質基準が設定されていない中、いかなる補償ができるか検討が必要」と回答があった。