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言葉の暴力、その背景に横たわる国家権力の暴力

 松井一郎大阪府知事は19日、ツイッターに「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。」と書きこんだ。言葉の暴力は、絶対に許されない。とりわけヘイトスピーチが大問題になった大阪府知事がこのような認識では、無くならない。
しかし、事態はもっと深刻である。
 この問題をメディアに問われた松井知事の記者会見の模様を、松井知事がツイッターにアップしている。「発言は良くないが、顔をさらして、個人を特定して巨大メディアが報道するのはいかがなものか」などと開き直り、「土人」発言をおこなった機動隊員をかばい通した。
 このこと以上に深刻なのは、「沖縄が混乱しているから全国の機動隊が沖縄に行った。沖縄のためだ」。
 間違った認識を発信してはいけない。
 先の9月県議会である与党県議が県警本部長にこんな質問をした。「全国から機動隊が高江に来るまで、逮捕者は何人あり、けが人は何人あったか」。県警本部長は、「なかった」。与党県議「では、機動隊が来てからの逮捕者とケガした人数は?」。県警本部長「逮捕者●名、けが●名」。具体的数字を挙げた。県議「ここから明らかなことは、機動隊が来て、現地は混乱したということだ」。これには県警本部長も「見解が違う」と反論したが、機動隊が来てから混乱した事実を否定することはできず、「現場の安定に努める」というのが精いっぱいだった。
 これが真実であり、沖縄が混乱しているから、機動隊を呼んだのではない。現場は、採石場から米軍基地である北部訓練場まで、相当の距離があり、警備をするには何か所も警察官を配置しなければならない。それではじき出した数字が「500」だった。
警察庁警備課長が関係都府県警本部長などへ宛てて、沖縄県への派遣態勢に万全を期すよう呼び掛ける文書を発出していたのが7月11日、沖縄県公安委員会が派遣要請を決定したのは7月12日だ。これらの日付は、参院選の投開票があった7月10日の翌日、翌々日だ。
 参院選後に、高江の工事再開があるだろうと警戒されてはいた。しかし、沖縄は、県議選、参院選と大型選挙が続き、しかも元海兵隊員による女性殺害事件があり、高江での座り込みは、現地の人たちだけでおこなわれ、路肩で抗議するだけだった。
ところが防衛局は不意打ちをくらわすように、参院選直後に資材の搬入を始めた。16日には、沖縄防衛局の職員が工事に反対する市民のテントや車に撤去を要求する文書を貼り付けた。こうしたなかでゲート前から市民や車両を排除するために、全国から機動隊員が次々に到着し始めた。
 こうした動きにたいし、「基地の県内移設に反対する県民会議」や住民の会などは、21日に緊急に「高江新基地反対抗議集会」を開くことを決定した。これ以後、個々人の参加が増え、辺野古の抗議に取り組んできた各地の島ぐるみ会議の人たちが高江に来るようになり、水曜と土曜は集中行動をやろうと申し合わせもされるようになり、少ない日でも40人前後、多いときは250人ほどが高江で抗議行動をするようになった。
 これらの経過からはっきりわかると思うが、県民を高江に向かわせたのは機動隊投入という安倍政権の力づくでいうことをきかせようという強引な手法による。しかも機動隊の「警備内容」も実にひどい。車にしがみついていた男性の顔面を機動隊員が殴りつけることまでやっていた。座り込みで排除した人たちをどこにも行かせないように警察車両と警察車両の間に入れて囲いこみ、自分たちはエアコンをかけっぱなしで、抗議参加者にたっぷり排ガスをすわせることを何時間も続けた。
 つまり、言葉の暴力も大問題だが、そういう言葉の暴力をおこなってもなんの問題も感じない現場に、若い機動隊員を置き続け、働かせ続けたことによって発せられたのであり、政府、県警、機動隊が抗議参加者を犯罪者のように扱っているからだろう。
松井知事は、記者会見で「彼らは命がけで行っている」とも行ったが、このことを裏書きする言葉である。
 言葉の暴力だけに矮小化せず、権力による暴力も問わなければならない。
 翁長知事は20日、県警本部長を厳しく諭した。「しんぶん赤旗」は次のように書いている。
 <知事は、動画で発言を確認したと述べ、「未開の地域住民を侮蔑する意味を含んでいるような相当さげすんだ言葉を、表現の自由を含めいろいろな活動をしている方々に浴びせかけている」と指摘。池田本部長が県議会の答弁で、「現場では冷静沈着かつ丁寧な対応を心がけるよう指導してきた」とくり返し述べていたことに触れ、「(答弁では)住民の皆さんの方がいかに乱暴であるかという説明をしていた。そういった県民に対する姿勢が今回の発言にあったのではないか」と指摘し、指導のあり方に疑問を投げかけました。>
  翁長知事は、この問題の本質を深く洞察していると思う。