高江オスプレイパッド建設差し止め訴訟(5)

 さて、高江のオスプレイパッド工事は、どこまで進んでいるのだろうか。
国は、2016年7月11日早朝、突如工事を再開した。機動隊約8 00人を動員し反対する市民を排除した上で、7月22日、N1地区工事に着手した。
 (注:県警は、いまだに警備能力を明らかにできないとして、9月28日の県議会代表質問に対しても人数を明らかにすることを拒否した。派遣費用は税金から払われるから当然、決算に反映する。県警本部長は「6都府県からの派遣のため、それぞれの県が派遣費用を出すことになり、沖縄県警では掌握していない」「県の支出は、燃料費と車の修理費で、今日までに燃料費950万円、修理代47万円で、高速代はNEXCOとの契約で支払いは生じない」と答弁した。これらの費用支出が適正かどうかは、補正予算の段階で議論になるだろう)

 県道70号線からN1に向かう通称Fルートの復旧工事を終え、9月3日にはN1地区のヘリパッド建設予定地の木の伐採にも着手、9月 9日には、H地区及びG地区のための資機材を民間へリコプター (ア カギヘリコプター株式会社 ロシア製ka32AllBC型)を用いて空中搬送し、H地区及びG地 区の工事にも着手した。
 国は工事に関し、7月20日に沖縄県に、「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業 (仮称)環境影響評価検討図書」を提出した。同図書によるエ事内容は以下のとおりである。
ヘリパッドの直径は45mであり、その範囲において土地を造成し平面にする。ヘリパッドの外周15mを無障害物帯とするため、その範囲において樹木等の伐採を行う。ヘリパッド設置に伴う進入路確保のため、新たにG地区で1271m、N4地区で84m、H地区で47mの造成工事を行う(甲1(2-2))。さらに、県道70号線からN1地区に至るルート(通称Fルート )において斜面の自然崩落が発生したため、この復旧工事も行う。以上の過程で、資機材輸送のためH地区付近に作業ヤード設置工事を行うとともに、工事用モノレールの設置やヘリコプターによる建設資機材の運搬を行う。
 当初、環境への影響を配慮し、N1地区、G地区、H地区の3地区について、1地区ずつ順次施工する予定であったが、早期完成のため3地区の工事は同時並行的に行われている。それぞれの工事に要する予定期間は、N1 地区で110日、H地区で30日、G地区で126日 である。
 具体的には、県道70号線からN1地区に至るルート(通称Fルート)の復旧工事を行いN1地区のヘリパッドまでへのルー卜を確保した後、N1・G・Hの工事を行うための準備工事と赤土対策工事を同時に行い、H地区付近に5200㎡の作業ヤードを設置した上で、N1、 H、Gの順に工事を完了させることが予定されている。
 資機材運搬に係る車輌の延べ予定台数は、N1地区で大型1058台・小型2016台 、G地 区で大型1416台 ・小型1087台 、H地区で大型 290台・小型353台、合計で大型2764台・小型3456台にものぼる。
 なお、既に同図書に予定されていなかった、自衛隊ヘリ(CH-47)による資機材の搬送が行われた。自衛隊ヘリはメインゲート奥から県道をまたいでGないしH地区に飛んでおり、ルートも同図書に記載されたヘリコプター移送ルートとは異なっている。また、同図書では環境への影響を配慮し工事用モノレールによる資機材の搬入が予定されていたが、これを中止し、「工期を加速」するため、トラック通行用の運搬道路が建設されることが明らかになっている。
 (注:県環境部は、2度、工事の現況確認に現地に入っている。県環境部は、工事で赤土が流出している個所が10カ所ほどあるという指摘も市民から聞いており、それも含めての現場確認をするということだった。2度目の立ち入りは27日に行っており、調査結果を分析している段階であろう。副知事は、防衛局に調査が終わるまで工事の中止を申し入れている。結果次第では、工事の中止と工法の再検討を迫ることになるかもしれない。赤土流出防止条例には、工事を差し止める拘束力はないというが、そうであっても県条例違反を指摘されて、委細構わず工事を続行すれば、「無法国家」と激しい世論にさらされることは間違いない)