中国で強制連行被害者が提訴(3)

 唐山市中級人民法院に提出した訴状は、原告側に返されたが、これより先に北京の地裁に出された分は、まだ受理・不受理が決まっていません。北京地裁提訴は次のように報じられました。

 

 【北京時事】戦時中に日本へ強制連行され過酷な労働を強いられたとして、中国人元労働者や遺族計37人が26日午前、日本コークス工業(旧三井鉱山)と三菱マテリアルを相手取り、謝罪と1人100万元(約1700万円)の損害賠償を求める訴状北京市第1中級人民法院(地裁)に提出した。原告側は「(強制連行は)日本政府と2被告を含む日本企業が共同して計画、実施した重大な人権侵害行為だ」と主張した。裁判所が関わる重大事項には共産党・政府の意向が反映され、習近平指導部が提訴を受理するかどうかが注目される。

 

 二つの提訴は、日本コークス鉱業三菱マテリアルの2企業を訴えている点は同じですが、北京地裁に訴えた方は日本政府を訴えることはしていませんが、唐山地裁に訴えた方は2企業と日本政府を訴えています。この違いが何によるものかを明らかにした説明は、どの報道(中国メディアも含め)にもなかったように思います。

 中国のある専門家は、「受理されるかどうか、難しいと思う。全人代でもこの問題に関する提案がだされるだろう」と話していました。

 裁判所が受理するかどうかは、中国政府の判断によると見られています。ただ、私が今回注目したのは、中国国内での裁判を支持する世論の広がりです。中国の「中華全国弁護士協会」の弁護士らが提訴の準備を進めてきたもので、政府系シンクタンク中国社会科学院北京大学の研究者らも加わっている。被害者1人当たり100万元(約1700万円)の賠償を求めるとしている毎日新聞)、中国政法大学、北京大学、清大学、中央財経大学、北京師範大学、航空航天大学及び中国社会科学院三十二人の学者が提案書にサインした」(北晩新視覚ネット)と伝えられています。