『愛知・大府飛行場における中国人強制連行・強制労働』出版(2)

南氏の「概要について」で最も注目すべきは、「占領軍国際検察局(IPS)による地崎宇三郎の戦犯訴追問題」でしょう。

論考は、「国際検察局(IPS)は地崎組の二代目地崎宇三郎を中国人強制労働を訴因の一つとして訴追する準備を行っていた」として、IPS文書№775012を例示しています。

写真とともに示されたこの文書には、中国人の一定の人々は戦争捕虜であり、戦争犯罪人として地崎宇三郎を裁くこともありうること、技術的法的問題から訴追が可能か疑っていることなどが書かれています。

GHQは、花岡事件とならんで地崎も戦犯裁判に問う意思が当初あったのではないか―。たいへんおもしろい問題提起です。

GHQが集めた地崎組関係の資料は、段ボール箱数箱分あるそうです。他の企業にはみられない、実態解明の手掛かりがそこにはあるということでしょう。