イトムカ探訪(7)

北見市は、北見工業大学の協力をえて、イトムカの流域における水銀汚染の調査をおこない、調査結果もふまえて、「北見市環境白書(平成20年版)」を作成しています。大気環境、水環境、騒音・振動、悪臭、水銀調査、その他と全般にわたるものですが、水銀調査を独立した章だてにしているところに、特徴があると思います。

 

昭和44年度に厚生省(当時)で…水銀調査を行いました。無加川は上流域にイトムカ鉱業所があることから調査対象河川となり、その結果、採取された魚類(ウグイ)から高濃度の水銀が検出され、無加川水銀汚染がクロ-ズアップされました。当時、無加川が上水として利用されていたことや、農業用など市民に密着した重要な河川であったため、昭和45年度より北見工業大学に調査研究を委託し、この調査結果に基づき昭和53年度から調査地点を定点化し、昭和61年度からは北見市独自で調査を実施してきました。平成5年度からは常呂川水系環境保全対策協議会が北見工大との共同研究により調査を継続しています。

 

調査結果にもとづいて、白書は次のように指摘しています。

 

▽イトムカ川から常呂川下流域までの9地点で河川底質について総水銀の調査を実施しています。イトムカ川については、昭和59年度には48.78mg/kgと高い値を示しましたが、それ以降は若干の変動があるものの減少傾向にあります。清水川については平成6年度を除き、変動はあるものの比較的低い値となっています。無加川、常呂川における総水銀は、暫定基準値に比べかなり低い値で推移しています。

▽底質については、常呂川、無加川の支流に高い値を示している河川があり、また魚類についても、魚介類の水銀暫定的規制値(河川産魚類には適用しない)に照らし合せると暫定的規制値を上回る検体もみられるため、引き続き監視を行います。なお、常呂川水系のウグイについては、食用、家畜の飼料などに使用しないよう市広報誌等を通じて呼びかけています。

 

水銀鉱山の流域は、開発以前から水銀の流出はあったでしょうが、水銀生産の過程でできた残滓から水銀をきちんと除去しないまま河川に流していたことが「採取された魚類(ウグイ)から高濃度の水銀が検出され、無加川水銀汚染がクロ-ズアップ」された原因だったのでしょう。