有機フッ素化合物汚染 厚木基地はどうだろう

 米軍横田基地有機フッ素化合物汚染は、年初来、大きな注目をされてきたが、神奈川県の米軍厚木基地の汚染は、どうであろうか。ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏は、「世界中の米軍基地でPFOS汚染が起きている」と主張している。また、神奈川新聞も「PFOSを含む大規模火災用の泡消火剤を巡っては、米軍厚木基地で12~15年にかけて漏出の記録があると一部で報道された」と書いているので、厚木基地も汚染が懸念される。

 神奈川県の綾瀬市議会では、平成30年の12月定例会で越川好昭君議員が厚木基地有機フッ素化合物汚染について質問。古塩政由市長は、「厚木基地内を流下しております蓼川の水質につきましては、基地の上流部及び下流部において2カ月ごとに調査を実施しております。しかしながら、御指摘のありました沖縄県内の米軍施設周辺地域において発がん性の疑われる有機フッ素化合物が高濃度で検出されたとの報道の件につきましては、あくまで米国の飲料水の基準に基づく調査であり、国内では基準設定がされていない物質に関するものであります。市では、河川環境の状況把握を目的に水質調査を実施しておりますが、飲料水の基準に基づく調査分析は行っておりません」とこたえている。

 

 神奈川県環境科学センターは、「引地川上流、中流下流の3地点を調査し、福田1号橋から下流の調査地点において上流の地点よりもPFOS濃度が高く検出された」と報告している(「神奈川県環境科学センター研究報告 №39 (2016)」)。

 PFOSが高く検出された地点は、厚木基地と近く、基地の影響の有無が検討されてしかるべきだが、川での採取に限った調査のため、汚染源についての考察がない。

 米国は今年1月に開かれた日米防衛相会談で、PFOS問題を日米が協力してとりくむと表明した。米軍が、有機フッ素化合物を使わない、そして保有しているものは廃棄することに踏み出せば、小さくない一歩になるだろうが、おそらく汚染されているであろう米軍基地内の土壌を調査し、その程度によっては除去することなしには、PFOSの環境への流出はさらに続く。国と地方自治体には、そのような角度から問題を提起することが必要ではないだろうか。