北部訓練場跡地 返還後も使い続ける米軍

 沖縄県の国頭(くにがみ)村と東村にまたがる米軍北部訓練場の「過半」が返還されてから12月22日で3年。返還式典は名護市で開かれたが、私は、別の会場で開かれた稲嶺進さん(当時、名護市長)の話を聞きに行っていたと思う。防衛省は、ロシア製のヘリまで投入して重機を運び入れ、ヘリパッドの建設を急いだ。重機で樹木をなぎ倒して米兵の訓練ルート切り開いたが、根っこを掘りあげなかったために、すぐに道はぼこぼこになる、返還式典後にこっそり工事のやり直しをしたと聞いた。式典から1年後の2017年12月25日、沖縄防衛局は、支障除去を完了したとして、営林局などの地権者に北部訓練場跡地を引き渡した。

 軍事訓練に使用された土地なので、土壌は汚染されているはずだし、不発弾などが残っているかもしれない。その土地を無害化して初めて引き渡されるという建前になっている。そのため、沖縄防衛局は、使用履歴を調べ、土壌の鑑定もおこなった。そして安全宣言を行ったのである。

 ところが、返還地から出て来る、出て来る。未使用・不発や空の銃弾、パラシュート照明弾、使用済み煙幕手榴弾、空の弾薬箱…。琉球新報沖縄タイムスだけでなく、朝日、東京新聞なども報道した。それらの発見者は、チョウ類研究者の宮城秋乃さん。先日、新宿区内で開かれた彼女のトークを聞きに行った。ブログも丁寧に書いている宮城さんだが、そういう文字の世界では触れられない話題もあった。衝撃的な話がたくさんあったが、一つだけ紹介したい。

 返還前、もう使われなくなっているヘリパッドがけっこうあるらしいとは聞いていたが、「LZ―FBJ」という森の一番奥にあるヘリパッド(跡)もその一つだったのかも知れない。

 宮城さんが「LZ―FBJ」に行った時、米軍ヘリが離着陸面ではなく、狭い草地に降りた。返還地に米軍ヘリが着陸することは問題だが、なぜ草地に降りたのかということも疑問になる。

  前者について防衛省は、現ヘリパッドと間違えたのだろうと言っているらしい。宮城さんは、正副2人の操縦士がいて間違えることは考えにくいという。

  後者については、「離着陸面は凹凸がひどく、地中のヘリパッド造成用鉄板も劣化した状態だった」という。そういうところに降りるのは危険であり、草地への着陸を選択したとみるのは妥当だと私も思う。そしてそこから導かれる「ヘリパッドが疲弊して使えなくなったので、返す代わりに新しいヘリパッドを求めたということでしょう。沖縄の負担軽減のための返還ではなかったのです」という彼女の結論は、説得力があると思う。

  宮城さんは、「LZ-1」ヘリパッド跡で、今年9月28日に、使用済みの野戦食約30袋を見つけた。比較的最近捨てられたものと思われ、中にはソースがまだ残っていて、腐敗臭もあったという。こういうことも「米軍が今も返還地で訓練を続けている」と見る根拠になっている。