石垣市議会が住民基本条例廃止を否決 この勝利を力に、住民投票への道を切り開いて

 石垣市自治基本条例の廃止をめぐる議案が本日(12月16日)開かれた市議会本会議で、賛成10人、反対11人の賛成少数で否決された。野党は9人の少数であることから、廃止案が通るのではないかと懸念されていたが、市民の反対の声に押されて与党議員のなかからも廃止反対に回る議員が2人あった。

 石垣市自治基本条例は、2010年に施行され「情報共有」「市民参加」「協働」「多様性尊重」の四つを原則に市政運営の最高規範と位置づけられており、市民の権利や市長の責務、市政運営の原則などを定める。

 与党議員のみで構成する同条例に関する調査特別委員会が今年3月に設置され、11月下旬の5回目の委員会で、「廃止すべき(条例)」と結論付け、今月2日の本会議で「廃止すべきだ」と報告した。提案者の石垣亨議員(自由民主石垣)は「社会情勢の変化や、二元代表制の円滑な運用には必ずしも有用な条例ではない」と主張していた。

 野党議員は、「条例を根拠にした石垣島への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の運動を阻害する思惑にしか見えない」と反対。

 16日の本会議では、沖縄タイムスの報道によれば、「野党の質疑で、撤回してもう一度条例のルールに沿って考え直すことはあるか、と問われた石垣氏は『条例が例え無くなったとしても多くの住民に関係ない。いらんものを作り上げるのに2年半かけるのは不要なもの』と答えて議会は紛糾」した。

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 自治基本条例は、日本国憲法の要でもある地方自治をより発展させることに寄与するものと期待されるものであり、これがまだ制定されていない自治体では、つくられてしかるべきものでこそあれ、これを廃止するというのは、民主主義の流れに逆行するものと言うべきであり、その廃止をとめたこと意味は、小さくはない。

 同市では、陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票実施が市民の大きな要求となり、2019年9月、市有権者の3分の1以上に当たる1万4263人の直接請求署名が集まったが、議会は、住民投票条例を否決し、住民が市を相手取って裁判を起こした。その報復とは思いたくないが、今回の自治基本条例廃止の動きにつながったとみる向きは多い。いずれにせよ、きょうの逆転勝利を大きな力にして、住民投票への道を切り開いてほしい。