沖縄県がおこなった子供の貧困実態調査の到達点

 「就学援助」は、経済的に厳しい家庭の子どもに学用品などの費用を支援する制度で、どの子も等しく教育を受ける機会を保障する重要な制度だ。沖縄県では、一昨年度、公立の小中学校の子どものうち、この「就学援助」を受けた子供は全体の23・6パーセントに上った、とNHK沖縄が報道した。

 沖縄県の場合、10年ほど前から、「歯医者にかかれず、歯がボロボロの子ども」など子どもの貧困が議論されていたが、4年前に沖縄県がおこなった実態調査で、相対的貧困率が全国の2倍という結果が出て、県全体で子どもたちの未来を切り開くとりくみをすすめようという機運がたかまった。

 故翁長雄志知事が「子どもの貧困対策は県政の重要課題」と位置づけ、「県民会議」を発足させ、県民ぐるみの支援対策に取り組み始めた。その柱の一つである就学援助制度の受給率を向上させることに各市町村も熱心にとりくみ始めた。テレビ、新聞も「子ども食堂」「就学援助」など具体的に支援策を取り上げた。バスの車内でも「援助を必要とするお子さんは、受けられます」という広告も目にするようになった。このようなさまざまな県民全体の支援の輪が広がる中で、就学援助受給率が向上した。

 NHK沖縄は、「制度の認知が進み、高い割合が続いていると考える。今後も支援が必要な子どもが制度を利用できるよう取り組みを進めていきたい」という県教育委員会の話しも紹介した。

 晩ご飯を買うことができないことが月に何度かあっても、「貧困」であることを隠す家庭は、少なくない。「貧困家庭」であることを知られると、子どもがいじめられると恐れ、だから就学援助も申請しないという。沖縄県は、子どもの貧困実態調査を行い、その現状認識を共有し、就学援助の受給が悪いことであるかのように見る風潮をなくす方向に進んだ。