関与訴訟で沖縄県が上告 あらゆる手段に訴える姿勢、不変

 沖縄県は10月30日、辺野古新基地建設をめぐる「関与訴訟」で、県の訴えを退けた福岡高等裁判所那覇支部の判決を不服として最高裁判所に上告しました。この裁判は、県の埋め立て承認撤回を国交相が取り消した裁決は不当であるとして、裁決の取り消しを県が求めたもので、福岡高等裁判所那覇支部は、今月23日「裁決は地方自治法の規定により裁判の対象にならない」などとして県の訴えを退ける判決を出しました。上告の理由は、今後明らかにするとしています。

 高裁判決が出る前、沖縄県在住のある弁護士さんに予想を聞くと、「沖縄県の撤回についての違法性の判断が示されるのではなく、県が訴えることは訴訟の対象にはならないという入り口論での判断になるだろうから、新基地建設阻止でたたかっている人たちに与えるダメージは小さいのではないか」と言っていました。

 この弁護士さんが言っていることを少し補足します。

 国と沖縄県の争いの根源はどこにあるかと言えば、沖縄県民が繰り返し辺野古新基地建設はノーという民意を示し続けているのに、それに反して国が工事を行うことに正当性はあるのかという点にあるのですが、裁判所は、それを正面から判断することはなかなかしません。今回の訴訟では、国と地方自治体の間の争いを迅速に解決するための地方自治法が設けた特別の訴訟制度を使うというものでした。裁判所は、沖縄県が訴えることがその制度に合致するかどうかは判断しましたが、争いの内容自体についての判断はしませんでした。そういう裁判でしたので、仮に、最高裁沖縄県が敗訴したとしても、沖縄県辺野古新基地建設を止めるために違う形で訴え出ることは法的に問題ありません。新基地建設阻止でたたかっている人たちに与えるダメージは小さいし、辺野古新基地建設をとめるためにできることはすべてやるという県の姿勢を沖縄県民は、支持し続けるということなのだと思います。

 高裁判決は、おおむねこの弁護士さんが想定したものでした。

 沖縄県は、これとは別に埋め立て承認撤回処分の取り消しにたいする抗告訴訟を現在起こしています。11月26日だったと思いますが、那覇地裁で第1回の弁論が開かれます。こちらはよくある行政不服申し立ての裁判なので、判決までに時間がかかると言われます。なぜ沖縄県が、仲井真知事(当時)が出した埋め立て承認を撤回して、沖縄防衛局が行う埋め立て工事を認めないことにしたのか、その適否についての国県双方の主張も法廷で論争になることでしょう。裁判所には、県の撤回判断の根拠をしっかり吟味してほしいものです。