沖縄県民投票の成功を

[県民投票成功へ連絡会結成]

 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票が、2月24日に行われる。多くの県民の参加で県民投票を成功させようと、政界や労組、経済界や市民団体などが「辺野古埋め立て・新基地建設反対の民意を示す県民投票連絡会」を昨年暮れに立ち上げた。共同代表の稲嶺進前名護市長は「今を生きる責任世代として、子どもや孫、次の世代のために私たちが今できること、やらなければいけないことをしっかりわきまえて臨もう」と呼び掛けた。この県レベルの会の動きに呼応して、12月28日、那覇市の会が結成された。ビラやのぼりなどを作製し、年明けから市内で精力的に集会や街頭宣伝を行う予定。

 1月1日、「県民投票連絡会」が記者会見をおこない、県民投票を実施すべきだと考えている県民が74%に上っており、「県民投票不参加の意向を示す首長はこの結果を真摯に受け止め、再考すべきであります。有権者の政治参加の機会を奪ってはなりません」(照屋大河県議)と訴えた。

 同会が2018年12月29日に実施した県内電話意識調査によると、名護市辺野古の新基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票について「賛成する」とした回答が74%にのぼった。「反対する」は19%で、「どちらとも言えない」が8%。

 沖縄県政与党側の「オール沖縄」がおこなった調査だから「県民投票実施に賛成」と答える人が多くなる傾向が出ていると思われるが、「県民投票に反対する」と答えた人が19%だったことから明らかなように、この調査に作為性はなく、県民全体の意識をしっかり反映しているとみるべきであろう。

 

[県民投票 そもそも]

 県民投票条例は、県民投票の目的を「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させる」ためとし、投票では、埋め立てに賛成するときは投票用紙の賛成の記載欄に○を、反対するときは反対の記載欄に○を記載すると定めている。

 開票は、投票率のいかんにかかわらず行われ、結果は、公表される。賛成票または反対票のどちらか多い方が有権者総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重する義務を負うことになり、首相と米国大統領に県民投票の結果を通知すると規定されている。

 「米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させる」県民投票だが、9月の知事選で辺野古新基地ノーを掲げた玉城デニー氏が安倍政権が支援する相手候補に8万票の大差で当選し、県民の民意を明確に示したにも関わらず、土砂投入を行った安倍政権。この暴政にたいする抵抗を示す意義もいよいよ強くなってきた。

 

[全県での県民投票実施を]

 1月2日現在、県民投票実施が不透明な市町村は、6自治体である。うるま市投票実施に伴う予算否決、沖縄市は再議否決、宜野湾市は再議否決し市長も不参加表明、糸満市は予算否決、宮古島は再議否決し市長が28日に最終判断としていたが越年、石垣市は再議でも否決―という状況である。

 沖縄県は、県民投票実施を決めていない自治体に対し、投票の機会を保障するよう求めている。謝花喜一郎副知事らは12月27日、松川正則宜野湾市長、上原昭糸満市長と面談。県民投票への不参加を表明した松川市長には予算を執行するよう勧告した。

 県は市町村にたいし、「(県民投票関連の)予算を執行することは裁量規定ではなく、義務であることを多くの行政法の先生から確認している」と説明している。

 市町村には条例に基づいて県民投票の事務を行う義務があるというのが、総務省の見解であり、6自治体はいずれ総務省に見解を求めるであろうから、県民投票を拒否することはできなくなると思われる。ただ、県民の間の亀裂を深刻にしないためにも市民が県民投票を保障するよう声を上げることがカギであろう。