「たたかう民意」と総選挙(1)

 沖縄の今回の総選挙は、4つある小選挙区のうちオール沖縄は1-3区で勝利し、4区は接戦でしたが、自民に議席を奪われました。「オール沖縄の一角がくずれた」という見方が蔓延しているようです。表層だけ見ていると、そう見えるでしょう。しかし、もっと掘り下げて見ると、違った様相が見えるのではないでしょうか。
 公示前の大方のメディアの予想は、2区・3区はオール沖縄の候補、つまり照屋寛徳さんと玉城デニーさんですが、自民候補を圧倒しているが、1区・4区、赤嶺政賢さんと仲里利信さんは自民候補と激しく競り合っているというものでした(。自民候補がややリードと出た翌日の他紙にはオール沖縄の候補がやや優勢、さらにその翌日にはまた自民候補が先行、というように情勢分析が目まぐるしく変わりました。それが投票日まで続きました。1区は、ひょっとしたら投票箱が閉まる直前の数時間で勝敗が変わったかもしれません。
 2区・3区は、米軍基地が多く、爆音にさらされ、命を削られる思いで暮らしている地域です。照屋さん、デニーさんは個人人気も非常に高く、そのうえに繰り返される米軍の事件・事故…。
 浦添市うるま市市長選挙で、オール沖縄の候補が敗れたから、オール沖縄の力は弱まっているとさんざん、報道されました。その二つの市は、2区・3区にあります。この見方では、大差でオール沖縄の候補が勝ったことを十分に説明できません。多少の誤解を覚悟であえて言えば、両市のオール沖縄の候補が、辺野古新基地建設反対の旗を高く掲げて訴えたのかという点がありました。うるま市の候補者は、辺野古のゲート前にはよく来ていましたので辺野古新基地建設反対の姿勢ははっきりしていましたが、実際の演説では後景におしやられていて、これではオール沖縄の強み「建白書実現のためにみんなで力をあわせて政治を変える(沖縄県や名護市・那覇市の場合は、知事・市長を支える)」-これが発揮できないように思いました。角度を変えれば、辺野古新基地建設が大きな争点になる選挙では、オール沖縄が力を発揮するということになります。     

                                (つづく)