翁長知事の施政方針(5)

 「産業の振興と雇用の創出・安定』について申し上げます。
 国際情報通信ハブの形成を目指し、沖縄と首都圏、アジアを直結する高速通信基盤等を活用したアジアとの双方向ビジネスの展開を支援します。
 また、サイバーセキュリティをはじめ、先進的なIT技術を活用した研究開発等や、他産業との連携による付加価値の高いサービスの創出、高度IT人材の育成を促進します。
国際物流拠点の形成に向けて、国際航空物流や海上物流の拡充を進めるとともに、これらの優れた機能を活用するグローバル企業等の集積を促進し、併せて商流ネットワークの構築に取り組みます。
 また、全国の優れた特産品を迅速にアジアへ届ける流通プラットフォームの構築を推進するとともに、事前マッチング型商談会としては、国内最大級の「第4回沖縄大交易会」を民間と共同で開催します。
 「沖縄科学技術振興ロードマップ」に基づき、沖縄科学技術大学院大学琉球大学及び沖縄工業高等専門学校を核とした産学官連携によるリーディングプロジェクトの創出や人材育成・確保の支援体制の構築を図り、新事業・新産業を創出する国際的な知的・産業クラスターの形成を推進します。
 再生医療や疾患ゲノムの研究開発を通じて先端医療技術の研究基盤を強化するとともに、感染症分野の研究開発や国際会議の開催等に取組み、国際的な先端医療及び感染症研究の拠点形成を推進してまいります。
 また、沖縄の生物資源や地理的優位性等を活かした医薬品、医療機器、機能性食品等の研究開発及び事業化を推進します。
 企業誘致については、国際物流拠点産業集積地域や、情報通信産業振興地域、経済金融活性化特別地区等の特区や各種税制優遇措置等を活用するとともに、航空機整備施設等のインフラ整備を促進し、アジア市場にビジネスを展開する産業等の集積に取り組みます。
 沖縄物産フェアの拡充や県内企業の販路開拓の支援等により、県産品の県外、アジア市場への販路拡大・販売促進に努めます。
 さらに、海外ネットワークを有効に活用し、観光誘客、県産品の海外展開、投資誘引等、戦略的な施策を展開します。
 県内ものづくり産業の振興については、サポーティング産業の強化を図るとともに、産学官・企業間連携の推進、高度技術の開発、戦略的製品の開発などに取り組みます。
泡盛などの県外展開による販売促進や需要喚起などの取組を引き続き支援するとともに、経営基盤の強化などが有効に図られるよう、酒類業界との連携に努めます。
 中小企業・小規模事業者の支援については、市町村や関係機関と緊密に連携し、経営革新や創業の促進、経営基盤の強化、資金調達の円滑化など、総合的に取り組みます。
また、好調な観光客の消費需要を着実に取り込み、県内商業の活性化に取り組みます。
クリーンエネルギーの推進については、米国ハワイ州との協力事業を推進し、海洋エネルギーをはじめ、沖縄の地域特性を活かした再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに、島嶼型のエネルギー技術開発や、関連企業の海外展開及び国際貢献を促進します。
 雇用の安定については、若年者等の離職率の高さや求人と求職のミスマッチ等の課題に引き続き取り組んでまいります。
 雇用の質の改善については、優れた人材育成の取組を行っている企業の認証制度のさらなる活用を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスの推進、従業員の正規雇用化など、働きやすい環境づくりに取り組む企業に対し、各種支援施策を展開します。

 「農林水産業の振興』について申し上げます。
 沖縄の地域特性を活かした農林水産業の振興については、戦略品目による拠点産地の形成、生産基盤の整備、6次産業化のほか、「地理的表示保護制度」の活用などにより、さらなるブランド化を推進するとともに、アジアなどへの海外輸出、販路開拓に積極的に取り組みます。
 また、島嶼県における流通条件の不利性の負担を軽減するため、引き続き輸送コスト低減対策を推進するとともに、中央卸売市場における物流対策の強化を図ります。
農地利用については、農地中間管理機構を通じて、新規就農者や法人経営体等担い手の農地利用拡大に取り組みます。
 畜産業については、経営基盤の強化を実施するとともに、安全・安心な県産食肉等の流通体制の強化を図るため、HACCP (ハサップ)基準に対応した食鳥処理施設の整備に取り組みます。
 水産業については、新規漁業就業者を対象とした漁具等の漁業経費の支援等を実施し、漁業就業者の確保・育成に取り組みます。
 また、漁船が自由かつ安全に操業できる漁場を確保するため、ホテル・ホテル訓練区域における使用制限の解除対象水域の拡大及び対象漁業の拡充を求めてまいります。
 日台漁業取決めの影響緩和のための基金を活用し、漁業者の安全操業の確保や水産経営の安定化など、水産業の振興に取り組みます。