オスプレイ墜落 怒りの島、再び

 米軍普天間基地沖縄県宜野湾市)に所属するMV22オスプレイ名護市安部区のリーフに墜落した事故で、市町村議会の抗議決議・意見書が相次いでいる。浦添市議会は14日に、読谷村議会は15日に可決した。さらにきょう16日、名護市議会、石垣市議会、嘉手納町議会、西原町議会、南風原町議会、宜野座村議会、恩納村議会、今帰仁村議会が続いた。
 宜野座村議会は、「オスプレイの即時撤去を求める抗議決議」および「オスプレイのつり下げ訓練と夜間飛行に伴う騒音被害に対する抗議決議」を可決した(全会一致)。
宜野座村は日常的にオスプレイに悩まされ続けてきた。今回のオスプレイ墜落の直前も数日間、夜も昼もオスプレイがつりさげ訓練をおこない、「村民に騒音被害を与え、恐怖と不安に陥れたことは、戦場さながら」の状況だったという。そういうなかで、とうとう墜落事故を起こしてしまった。
 名護市議会が可決した意見書名は、「MV22オスプレイ墜落に抗議する意見書」である。
 「墜落現場は、名護市安部区集落付近の海岸から80㍍の浅瀬で、事故当時イザリ漁をしていた市民もいた。一歩間違えれば人命にかかわる大惨事になりかねない重大な事故である」と述べている。
 意見書はさらに、「これまでの我々(名護市議会)の訴えに一切耳を傾けず、(オスプレイを)強行配備し、その後も本市上空での飛行訓練が頻繁に行われ、飛行経路となっている集落及び着陸帯に隣接する地域住民を不安に陥れている中で、このような墜落事故が発生したことは、日米両政府の責任は極めて重大である」と抗議し、①MV22オスプレイの配備を直ちに撤回すること②同型機配備を行う辺野古新基地の建設を直ちに中止・撤回すること―を要求している。
 米軍嘉手納基地を抱える嘉手納町議会は、米軍が民間地域を避けて海上に不時着させたとしてパイロットの判断を称賛していることを強く批判し、「欠陥機として危険性が指摘され、配備反対を強く訴えてきたオスプレイが現実に県内で事故を起こした」と真っ向から抗議している。
 米軍は、これまでにも墜落事故の際、死者が出なかったのはパイロットの腕が優秀だからだなどとうそぶくことがしばしばあったという。重大事故を起こしておきながら、米軍に感謝せよという態度に、占領者意識丸出しととらえる県民は少なくない。 
 西原町議会の決議(全会一致)は、「県民の暮らしと生命財産を全く顧みない軍事優先の米軍・米国に激しい憤りを覚える」とし、辺野古新基地や高江ヘリパッド建設に見られる日本政府の沖縄への基地の集中・固定化も批判した。
 オスプレイの即時撤去、在沖米軍基地の整理縮小・海兵隊の撤去を求めた決議もあった。

 沖縄は再び、「怒りの島」になりつつある。そのなかで県議会の決議がどうなるか注目される。
 県議会は14日に当初、開会予定がなかった米軍基地関係特別委員会が夕方、開催された。県議会としても墜落事故についてなんらかの対応をしなければと、各委員の間で話が進んだらしい。県基地対策課長が主に事件の概要と県の対応について説明、米側は「不時着」という言葉を使っているが、県としては大破しているなどの状況から墜落という認識だとの考えを述べた。捜査権は日本側にはないのかという質問やニコルソン4軍調整官の発言について事実関係の確認を求める質問もあった。質疑の中で事件の重大性がさまざまな角度から深められていった中で、本会で抗議決議を上げるべきだとの提案があった。これにたいして与党各会派は賛意を示したが、自民党委員は持ち帰り検討したいとした。

 その翌15日、自民党県連会長は、稲田防衛相らと面談し、原因究明までのオスプレイの飛行停止、オスプレイの県外への分散配備を米政府に働きかけるように要請したというから、まったく対応しないわけではないようだ。どの線までなら県議会与党の主張をのめるか、東京に行って感触をつかみたかったのだろうか。自民党県連は、県議選後、県議会の会派名を「自民党・おきなわ」にした。つけくわえた「おきなわ」にふさわしく、オスプレイ墜落に対する抗議決議に名を連ねられるか、ここも注目点である。