県外機動隊への支出に関する住民監査請求陳述会について

 11月22日、沖縄県監査委員による住民監査請求陳述会が県議会棟で開かれた。政府は、高江のヘリパッド工事強行に伴って工事に抗議する市民らを排除するために、東京、大阪などの県警から500人を超える警察官を沖縄に派遣しているが、その機動隊が使う燃料代や修繕費を沖縄県が支出することになっているが、それは、工事が民意に反するものであり、県財政の支出は不当だとして住民監査請求を行っている。
    監査委員は當間秀史氏、鈴木啓子氏、具志堅透氏、嘉陽宗儀氏の4人。請求者代表3人(真喜志好一市、儀保昇氏、北上田毅氏)が陳述をおこなったのち、監査委員の當間氏が請求者に「請求の中に『違法な人格権の侵害を惹起させる』という文言があったが、その意味を教えて頂きたい」と質問。北上田氏は、「N4が運用されてからオスプレイによる被害は深刻だ。6月はとくにひどく、深夜もオスプレイが飛び交い、子どもは眠れず、翌日、体調を崩し、学校にいけないことまで起こっている。今後、さらに4カ所完成し6カ所運用されたら、高江全体が睡眠障害等、人格権が侵害されることは疑いない。そのことを表現した」と説明した。
    嘉陽氏も請求人に対し、「皆さんがヤンバルの自然を守るために頑張っておられることに敬意を表します。ヤンバルは県民皆の水がめでもあります。是非とも、ヘリパッド建設問題にも関連して、水資源のことについても検討していただきたい」と質問した。

    行政側の当事者である公安委員会委員と県警警備部長が陳述をおこなった。
 北上田氏は、「チョイさんの沖縄日記」で次のように記している。
http://blog.goo.ne.jp/chuy/e/5dec74378473d3b9a55c657a95a2b867


 <沖縄県警、そして公安委員の陳述はひどいものだった。「警察が違法行為を確認しながら放置することはできない」(「それなら違法ダンプトラックを何故、取り締まらないのか!」というヤジが飛んだ)、「警察官が市民らをケガさせたことはない」(ここでもブーイング)、「警察は政府の一方的立場に汲みしていない」(「今、警察がやっていることは、防衛局のガードマンだ!」)、「抗議する人たちが集会を開いているため、道路が通行できなくなっている」(「ウソだろう。我々は、一般車の通行を確保しながら集会を開いている。道路を封鎖しているのは警察だ!」)、「(警察車両と機動隊の列で作った檻に市民らを監禁しているという批判に対して)必要最小限の範囲で安全なところに移動していただいている」などというものだから、傍聴席からは怒りと抗議の声があふれた。>

 県警警備部長は非常に能弁で、事細かに請求人の陳述に反論していたが、県警としては反論しなければならないのに、一言も反論できなかったことがあった。それは、違法ダンプのことである。
 少し長くなるが、北上田氏の指摘を引用する。


<今回のヘリパッド工事で、砕石等を運搬しているダンプトラックの多くが、ダンプ規制法や道路運送車両法に違反していることが大きな問題となった。助手席足元の窓に着色フィルムを貼ったり、過積載につながる「さし枠」の設置、最大積載量表示がない、排気口が横を向いているなどの不正改造=道路運送車両法違反車両、また、ダンプ表示番号未記載のダンプ規制法違反車両等が指摘されてきた。
 現在、政府は「不正改造は犯罪です!」というリーフレットを作成し、「不正改造車を排除する運動」を進めている。警察庁もこの運動の後援団体となっている。
 市民らが違法車両の写真をもって沖縄防衛局陸運事務所に抗議したことにより、沖縄総合事務局も指導に乗り出した。稲田防衛大臣も記者会見で「事業者として、受注者に対し改善するように指示した」と認めざるを得なかった(2016.10.19 琉球新報)。
 これらのダンプトラックは採石場から前後を警察車両に警護されて北部訓練場の工事現場までやってくる(県民はこの車列を「お砂利様行列」と呼ぶ)。我々が「不正改造車だ! 警察はダンプトラックを停めて問題がないかどうか確認せよ」と強く抗議をしても、機動隊員や県警の警察職員らは、抗議する県民を規制するだけで、違法ダンプトラックをそのまま走行させてきた。
 不正改造車については、道路運送車両法第99条の2違反で、同法第108条により6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金。そして番号表示がないダンプ規制法違反については同法第20条で3万円以下の罰金が課せられる。また、不正改造車を運転した場合は道路交通法第62条違反で、同法第119条により3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられる。これらはいずれも重大な「犯罪行為」であり、警察はすぐに取り締まる必要があることはいうまでもない。
 沖縄県公安委員会は、「今回の援助要求は、危険かつ違法な行為に対し、純粋な警察活動の必要性からなされた」と主張する。しかし、現地で警察は抗議する県民を規制するだけであり、一目で不正改造車だと分かる違法ダンプトラックについては全く指導しようともしていない。
 これらの点からも、現地に派遣された警察職員は、違法行為の取り締まりをするのではなく、ヘリパッド工事を円滑に進めるために、抗議する県民を規制するための活動を続けているだけである。>


 これほどまとまった陳述であるから、警備部長が聞き漏らしたわけではない。
    この問題は、稲田防衛相が「是正を指示した」と記者会見で述べたように、工事を続けるうえで無視できない問題だったのである。ところが警察・機動隊は、“悪はわが目の前にあり”であるにもかかわらず、目をつむり続けたのである。これでなぜ、警察法2条に基づき、適正に業務を遂行しているといえるのか。

 今回の陳述会のなかで真喜志氏の、高江で建設される着陸帯はオスプレイ専用であるとする指摘も、きわめて重要だ。そのことについては、機会を改めて整理したい。