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機動隊員の差別発言と沖縄県議会(5)

 本日、10月28日、沖縄県議会臨時会が開かれた。5月26日の「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書・抗議決議」を可決した臨時会に続く今年2回目の臨時会だ。こういうところにも沖縄の特殊事情が端的に表れている。
 5月の臨時会では、海兵隊の撤退を決議に盛り込むかどうかが大きな議論になった。与党は撤退を入れる案を主張し、自民はその案を拒絶し、独自案を提出した。独自案が賛成少数で否決されると、与党案の採決の時、記録の上での全会一致のために退席した。公明は、両案に賛成するというちょっとわかりにくい対応をとった。他府県の議会はどうかわからないが、沖縄県の場合は、自会派の主張をしつつ、全県民的対応をもとるという独特の力学が働くようだ。それは、アメリカの占領支配下の植民地的状況のなかで形成された政治土壌であろう。主義主張はいろいろあっても、米軍の権力に対抗するには県民が団結し、沖縄の権利を主張するしか道がなかったことに由来するのであろう。いつもそういう力学が働くわけではないのかもしれないが、うるまの女性が殺害された事件にたいする県議会の意志を示すにあたっては、自民会派もある意味、譲歩したのである。
 しかし、今回の機動隊員による差別発言では、そうした動きは全く見られなかった。(4)で紹介した自民会派の意見書案には、はっきりと抗議活動をする市民にたいする憎悪が深く刻まれている。きょうの本会議での討論は、その憎悪がむき出しだった。ある自民議員は、自民党が独自に調べたところでは、警察官に対して次のような暴言が浴びせられたといって、そのことばの一つ一つを長時間かけて、すべて紹介していったのである。街頭で聞くヘイトスピーチの比ではない。
 なぜ、ここまで抗議活動を糾弾するのだろう。しかし、彼らの舌鋒の向かうところは、さらに地元2紙にも向けられた。現場の状況が正確に伝えられていない、警察官の失言は、構造的差別だといって徹底的に批判するが、住民の警察官にたいする脅迫的な発言は全く問題にしない、云々。
 そして最後に、でたことばは、「工事は年内に完成する」だった。沖縄の立場は、どこへ行ってしまったのか。

  採決では、与党3会派と維新、公明が提出した抗議決議・意見書は、自民を除く賛成多数で可決され、自民案は、自民だけの賛成少数で否決された。
 5月の臨時会で、自民党にもいい顔したかったのか、与党案と自民案に賛成した公明党だったが、今度は、自民案には賛成しなかった。できなかったというべきか。それほど、自民案には沖縄県民の気持ちが徹底してそぎ落とされたものだったのである。