菅官房長官の北部訓練場年内返還発言について(2)

 菅官房長官の年内返還発言について、沖縄タイムスが10月9日付社説で次のように分析している。
 <日米両政府はこれまで、刑事特別法(刑特法)の適用や沖縄防衛局職員による「私人逮捕」、県警による逮捕権行使などの適否について検討を進めてきた。ここに来て菅官房長官が「年内返還」を明言したということは、妨害行動を排除するための方法について、日米が合意に達した、とみるべきだろう。>
 刑特法は、米軍施設内での軍警察による逮捕が前提だが、体制上無理があるという。
目取真俊は今年4月、カヌーを漕いでキャンプ・シュワブ内に上陸したことで、軍警察に拘束され、その後、軍警察から身柄引き渡しをうけた海上保安庁が刑事特別法違反容疑で逮捕した。北部訓練場内では、この軍警察の代わりを防衛局職員がやり、N1ゲート(もしくはN1裏)に待機する県警に引き渡す、これが「私人逮捕」である。
日本の警察が基地の中に入って逮捕することは、地位協定で認められていない。犯罪を犯した米兵が基地の中に逃げ込んで日本の警察が手出しできないことが繰り返されてきた。米軍はこの特権を絶対に手放さない。しかし、ヘリパッドを造るためには、例外として北部訓練場内に限って日本の警察が基地内で逮捕することを認めるという案も検討されているという。
 抗議活動を排除し、工事を強行するためには何でもありだ。
刑特法ではなく、威力業務妨害での逮捕という案もあるという。できるだけ米軍を批判の矢面にたたせるのは避けたいという思惑もあるようだ。
 稲田防衛長官は、数日前、「どこでも法令が順守されるべきだ」と発言している。むろん刑特法適用を含んでのものだ。