伊江島の米軍基地機能強化(3)

 高江での重機搬送は、民間会社から自衛隊に移ったものと思っていた。伊江村は、民間会社のヘリはすでに引き上げたといっていたからだ。
ところが、14日付の琉球新報は、「自衛隊機による搬入は13日で終了したが、民間機による搬送は14日以降も続くとみられる」と報道している。新報もそれなりの裏付けがあって書いているだろうから、あるいは伊江島以外の空港を使って民間機で重機の運搬をやるのかもしれない。

 ところで、伊江村は、この問題についてどのような立場をとっているのだろうか。
民間会社の使用許可申請は、伊江島空港の管理事務所に出された。その管理事務所の責任者は、伊江村の総務課長が兼任している。県条例では、県の8つの飛行場については、所在の市町村に権限移譲していて、市町村が最終的に使用の可否を判断することになっている。
 伊江村は、金曜夜から土曜・日曜は県の担当(航空課)が不在になるため、市町村の担当が判断することになっていると説明している。それは、この際、置いておくとして、提出された使用許可申請書は、飛行場で給油するとかメンテナンスをするとかといったことであるから、書類の範囲で問題視して不許可にするというようなことはまずないと見ていい。では、空港を出て何をするのか、そういう聞き取りはない。だから、高江でオスプレイパッド建設の重機をN4に行って、N1まで運ぶのだからけしからん、とはならない。翁長知事が「容認できない」と不快感を示したのもそのあたりが限度なのだろう。
 伊江村の島袋村長も「安全上支障がなければ不許可にできないとして、『使用を断ることはできないが、村民としてあまりいい思いはしない。今後は内容を精査し、できれば他の空港を使用してもらいた』と述べた」(沖縄タイムス)。
 「村民としてあまりいい思いをしない」というのは、たぶん、村長の舌足らずで、高江の工事に伊江島を使うことはやめてもらいたい、不許可はできないが、そういう沖縄の感情を理解して、別のところをあたってもらいたい、というところに真意があるようだ。村長は「自衛隊基地を使うことも考えられるでしょう」とも言っているからだ。
 東村の村長が工事に村道は使わせないと言っているように、伊江村の村長にもなにかしら抵抗を示してほしい気はする。しかし、適切な手段がその範囲で見つからなければ、沖縄の気持ちを理解してほしいという表明だけでも政治的意味合いは強いと思う。
 ここでもう一つ注目しておきたいのは、今後のことである。
 聞くところによれば、伊江村長は、“他の所を使用できませんかねと言うお願いはしていく” と言っているようである。新報が書いたように、また民間ヘリが使われるのであれば、ぜひ、そのことを発信していただきたい、そのときは心から応援したいと思う。