オスプレイとコウモリ(1)

 「オスプレイが飛ぶようになってから宜野湾でもコウモリがいなくなったという記事が新聞に出ていた。ここにもオスプレイの影響があるのかと驚いた。即時、普天間基地は閉鎖すべきだ」。8月13日、宜野湾市役所前で沖国大への米軍機ヘリ墜落事件から12年にあたって普天間基地の即時閉鎖を求める集会とでもで、こんな声も聞かれた。


 オスプレイとコウモリの関係は、以前にも指摘されていた。
 4年前だったが、「米軍がオスプレイ訓練計画を中止」というような見出しだった。米軍がハワイ州にMV22オスプレイの配備を計画したが、環境影響評価(アセスメント)最終報告書を受けて配備を取り下げた「事件」である。米軍の決定記録文書などには、騒音や安全性に対する地元住民の不安、希少生物の生息環境破壊への懸念に配慮したこと、カラウパパ空港の近くにある考古学的資源に対するMV22の下向きの気流の影響も懸念された、と記述されている。(20120814)
 このことを知った宜野湾市民からは、「ハワイではコウモリへの影響からオスプレイの訓練が中止になったというのに、この宜野湾市では、子どもたちにたいする配慮は全くない。私たちはコウモリ以下なのか」-こんな意見があがっていた。何年たっても記憶に残る。

 

 オスプレイ低周波が人に与える影響について、琉球大学の渡嘉敷健準教授の「東村内学校における米軍航空機の音環境調査報告会」で配布された資料で確認しよう。渡嘉敷氏が普天間基地周辺の普天間、喜友名、野嵩、嘉数、上大謝な、真栄原、新城の地区で住民にアンケートを取った結果である。
 <「オスプレイが配備された前と後で、あなたやあなたのご家族に、体調や健康状態の変化はありますか?」という質問において、「ある」と回答した人が65パーセントであり、多くの人が何らかの影響を受けていることが確認された。中でも、「いらいら感が増す」「よく眠れない」等の意見は特に多く見られた。>
 健康状態の変化として上がっているのは、「頭痛がひどい」「頭が重く感じる」「吐き気がする」「耳鳴りがひどい」「耳の奥に圧迫感がある」「イライラ感が増す」「よく眠れない」「胸部や腹部に圧迫感がある」であった。
  渡嘉敷氏の資料には、心臓に金属製人工弁を入れている人が「オスプレイが真上を飛ぶたびに不整脈が起き、苦しい思いをする」という金武町の男性、「配備後、パニック障害の症状が悪化した」という中城村の男性の例も紹介されている。

 卓越した報告と思う。騒音測定にとどまらず、住民の生活にどのような影響を及ぼしているのか、工学的範囲を超えて(?)言及されていることである。もし、こうした調査に医学の専門家が加われば、私たちがもっとも知りたいことーオスプレイ低周波を長期にわたってあびれば、健康にどのような症状が表れるのか、日本政府も否定できない被害像が鮮明になることだろう。