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米軍属事件の裁判移管について(2)

 「管轄移転請求書」で、その次に書かれているのは「事実の概要」であるが、遺族にはとても見せられない、あまりに残忍な経過が書かれている。この部分は、おそらく起訴状の転記と思う。

 「民心」の項では、
  1.報道を通じて本件を極悪非道な事件と信じているだけでなく、過去の凶悪事件を思い起こし、被告人を含めた米兵は悪人である、その悪人の巣が米軍基地であるからそれを撤去し、或いは悪人たちに特権を与えている地位協定は改定さるべきというのが沖縄県の民心である。
  沖縄県は行政 (沖縄県及び各市町村)議会 (地方議会を含む)マスコミ(新聞、テレビ、ラジオ)、 政党、各種団体及び県民は本件が基地があるが故に起きた事件とし「基地は戦争をもたらす『悪』」としている。そして本件に抗議しそれを基地撤去、地位協定改定等の正当事由として使い大衆運動を起こした。その際軍人、軍属の過去の全ての事件(過去に3米兵による少女乱暴事件、嘉手納基地軍曹の女性暴行、今年1月水兵の準強姦事件など復帰後574年の凶悪事件など)の 内容を公表し統計をあげて本件の凶悪性、危険性を増幅させている。
女性県民は本件の被害者は故島袋里奈だけでなく、「私かも知れない」とし、男女を問わず被害者を失った悲しみも家族だけのものでなく私達のものとしている。その上で本件被告人の厳罰を望む。

 こうしたことを並べ立てて、結論として、「裁判の公平を維持することができない虞れ」があるとし、裁判の管轄を東京地裁に移すように主張している。

 ところで、いま進められようとしているのは刑事裁判である。それで終わりではない。被害に対する賠償問題もある。民事裁判になることもあるのである。以前、このブログで、米艦キティホークの乗組員に妻を殺害された横須賀市の山崎正則さんのことを書いたことがあったが、その乗組員は、刑事裁判では1審で無期懲役になり、米軍は控訴するなと言ったようで弁護人も降り、1審で判決が確定した。米軍は、裁判を早く終わらせ、早く世論を鎮静化したかったのだろう。その結果を受けて、民事裁判が起こされた。米軍上司の監督責任は認められなかったが、その米兵には高額の賠償命令がだされた。その民事訴訟のなかで、米兵がどのような人殺しの訓練をするのかも明らかにされていった。
 今回の被害女性の遺族が、民事訴訟を望まれるかどうかは分からないが、かりにそうなった場合、遺族を支援する人々は、沖縄でも東京や首都圏でもたくさんでてくることだろう。

 

追記

 最高裁は8月1日、裁判の移管請求を棄却した。「法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されている」としている。