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裁判より協議優先 係争委結論を受けての翁長知事の方針について(1)

 国地方係争処理委員会は6月17日、国交相の是正の指示は地方自治法に反するのではないかとの翁長雄志沖縄県知事の申し出について結論を出した。この結論についてどう評価すべきか考えてみたい。

 係争委は、国交相がおこなった正の指示が適法かどうかは判断せず、国・県双方が協議により双方が納得できる協議をすることが望ましいとした。「国と沖縄県との間で議論を深めるための共通の基盤づくりが不十分な現在の状態のもとで、当委員会が・・・肯定または否定のいずれかの判断をしたとしても、それが国と地方のあるべき関係を両者間に構築することに資するとは考えられない」という点を論拠に、「埋め立て承認―埋め立て承認取り消し―代執行訴訟などの訴訟」という一連の経過を見て、結論付けたとしている。
 国に、国と地方の在り方について考え直し、県と共通の基盤づくりを期待することは、非現実的とだれしも思うところだろう。
 しかし、より注目すべきは、福岡高裁に続いて係争委もが、裁判や第三者委員会の裁定ではなく、国県の協議で解決策を探れとする見解をだしたこと自体にあるのではないか。この現実は、政権にとってかなり厳しいてかせになったに違いない。菅官房長官は、記者会見で、県に裁判を起こすよう促したことに表れている。
 国と県の協議による模索ということであれば、半年、1年はやらなくては本気度を疑われるだろう。昨年の集中協議では、翁長知事は、毎回、どのような議論があったのか、最大限記者会見で語っていた。国側が、県を説得する論拠をほとんど提示せず、“県のダダこねは聞いてやるが政府の方針は変えないから、従え”といっていいような対応を取っていた。
 係争委が「議論を深めるための共通の基盤づくり」に欠けると指摘したのは、このことであろう。
 安倍政権は、県を、そして世論を納得させるだけの論拠とそれをうらづける材料を示さなければならない。
 そういうものを県との協議でだせるか、はなはだ疑問ではあるが、仮にそれができた場合であっても、全国民的な検討・吟味にたえられるかということがある。
 たとえば―。辺野古案は、当初、撤去可能なヘリポートとして出されたはずだ。それが、いつの間にか耐用年数200年と説明される恒久施設になり、強襲揚陸艦が接岸でき、弾薬庫付き。オスプレイの使用などという話もまったくなかった。この変遷について政府はきちんと説明してこなかった。そして、そういう計画の必要性も説明していない。
 翁長知事は、係争委の結論を不満として裁判に訴えるのではなく、「尊重する」し国との協議に取り組む意向を明らかにした。昨年の不毛な集中協議を繰り返すことになるのではという疑問に対し、知事は先の訪米で得た感触―アメリカ側が1年前と比べて変化している―も含めて、前進させる可能性を語っていた。立憲主義を平気で破壊する安倍政権にあまり期待は持てないが(というより、この政権が1、2年持つのかということのほうが現実的な気がするが)、協議を通してますます国民の目が厳しくなり、それが普天間基地の返還と新基地建設断念につながることだろう。