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瀬長亀次郎の沖縄違憲訴訟 人民党機関紙から(4)

 ②那覇市具志の農民は、自分の畑に行く権利すら奪われている。アメリカ侵略軍は、必要でない土地すらとりあげた。沖縄に「黙認耕作地」というものがあるが、それは膨大な耕地を強奪しすぎて、そのうちからすぐ使う必要もない部分を耕作することをアメリカ軍が「黙認する」というものである。具志の農民たちはこの「黙認耕作地」を耕し、砂糖キビや野菜を植え付けた。同耕作地に行くためにはパスが必要である。パスポートである。ところで那覇空軍基地のAPは、1967年7月2日具志の農民たちのパスをとりあげた。そして現在まで渡していない。理由は、私は人民党支持者でありますとか強制された調査書―宣誓書―を提出しないからだというのである。このことはヘーグにおいて結ばれた陸戦法規―占領軍は被占領住民を強制して宣誓させてはならない―すら無視、じゅうりんして人権を奪っているにとどまらず、自分の土地を耕作するための歩く自由まで奪われている沖縄の農民の苦しみの実態を明らかにしている。

 それだけにとどまらない。沖縄本島の水源地はアメリカ占領軍によってことごとく奪われている。水源地を奪われ、県民は自分の水をただで飲む自由もなく、アメリカから水を買って飲み、かろうじて生きている。しかし、沖縄本島最大の基地、嘉手納空軍基地周辺の人々はその水、自分の屋敷内の井戸水を飲む自由すら完全に奪われてしまった。この小ビンの中身は、その井戸からくんできたガソリンである。井戸は水が出るのではなく、ガソリンが湧き出るのだ。これらの井戸はフタをかけられ、その前に〝火気厳禁〟の立て札が赤字で書かれてたてられている。井戸水は火を消すのに使われるのが普通である。しかし基地周辺の井戸は逆に火を噴きあげるのである。そのガソリンはアメリカのベトナム侵略戦争の北爆の主力B52機に給油するKC135の給油機が嘉手納基地にたむろしている。これから流れ出したもっとも揮発性の高いガソリンである。米軍は、嘉手納村民の損害賠償と〝水よこせ〟の要求になんと答えた。「米軍機から流れ出したガソリンの量は150ガロンにすぎない。井戸水をガソリンにするほどの量ではない。これは元日本軍の置き忘れたガソリンのためであろう」と。
 日本空軍はたしかにいた。しかしそこは嘉手納村ではなくて、おとなりの読谷村。すなわち読谷飛行場であった。しかしもう飛行機はいなかった。また日本軍には降伏しないずっと前からガソリンは一滴もなく、木炭ガスを使ってビッコを引きながらやっと動いている軍用車しかもっていなかったのだ。侵略軍のウソは沖縄では常識になっている。このウソは日本人に対する最大な侮辱であり、大挑戦である。嘉手納村民をはじめ、勤労県民はこの損害賠償をかちとるにとどまらず〝水よこせ〟の闘争を発展させ水を飲む自由を勝ち取るたたかいを絶対にやめないであろう。