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普天間基地隣接の市民駐車場での人権侵害(6)

 市民駐車場は、同年12月 28日午後6時、米軍により利用が再開された。再開後、とくに問題なのが米軍兵士による巡回である。これも人権擁護委員会の調査報告を見ておきたい。

 本件駐車場の利用が再開された同年12月 28日以降、本件駐車場では、米軍兵士による巡回が毎日行われるようになった(ただし、2013年 (平成25年)2月上旬時点では週2~ 4回程度になっていた。)。同年3月14日午後7時頃、金曜集会(毎週金曜日の午後6時半から7時にかけて普天間基地野嵩ゲート前で開催されている平和運動センター主催の抗議集会)の参加者が帰路に着くため、本件駐車場から出庫しようとしたところ、本件駐車場から出庫できないよう、米軍関係者が米軍車両で駐車場入口を30分以上にわたり塞いだ上、駐車場管理人に対して「なぜ抗議行動に参加する者の車を駐車させるのか」、「なぜ利用規制の看板を撤去したのか」等といって騒ぎ立てる事態が発生した。そして、米軍関係者は、駆け付けた宜野湾市職員や駐車場管理人に対して、「来週月曜から駐車場を閉鎖する」と言って、ようやく本件駐車場入口の封鎖を解いた。ただし、その翌週月曜日から本件駐車場が米軍によって閉鎖されるという事態は発生しなかった。 同年4月 9日、米軍普天間基地渉外官から宜野湾市に対し、「普天間飛行場担当者から、本件駐車場を抗議行動者12~15人が利用しているのを確認したとの報告があった。市は抗議行動者に利用させないようしっかり管理してほしい。」との口頭注意があった。 以上の経過からすれば、米軍兵士による巡回は、米軍に対する抗議行動を行う市民が本件駐車場を利用しないよう、監視する目的であったと考えられ、また、米軍が、米軍に対する抗議行動を行う市民の利用を確認した場合には、 これを排除するよう、宜野湾市に対して強い要求をしていたことが認められる。
 米軍による閉鎖の目的と再開にあたって付した条件 上記のとおり、米軍による本件駐車場の閉鎖の目的は、市民が本件駐車場を利用できなくすることにより、米軍によるオスプレイ配備に反対する抗議行動を行う 者が本件駐車場を利用できなくすることにあったと 考えられる。 またその後、普天間基地司令官から宜野湾市に対する2012年 (平成24 年)12月 6日付文書において、本件駐車場の共同使用の提案の中で、宜野湾市による監視の方法の詳細の送付を求めたことは、米軍が宜野湾市に対し、本件駐車場再開の条件として、米軍に対する抗議行動を行う者が本件駐車場を利用できないようにするための監視方法の策定を要求したものと考えられる。これを受けて、宜野湾市は、米軍に対する抗議行動のための宣伝車が駐車することやプラカード等の持ち込みを禁止し、「米軍への抗議行動でのご利用はご遠慮ください」との看板の設置を内容とする本件管理要綱を策定し、これを米軍に提示して本件駐車場の早期利用再開を要請した。その結果、本件駐車場の利用再開に至った。しかし、利用再開後も米軍は自ら本件駐車場内を定期的に巡回し、米軍に対する抗議行動を行う者が本件駐車場を利用していることを確認すると、駐車場管理人に対してこれらの者が本件駐車場を利用していることに抗議し、また、米軍普天間基地渉外官から宜野湾市に対し、市は米軍に対する抗議行動を行う者に利用させないよう管理するようにとの口頭注意があった。

 この経過から人権擁護委員会は、「米軍は、米軍への抗議行動を行う者による本件駐車場の利用を禁止することを条件に、宜野湾市に対して本件駐車場の利用を許可したものと認められる」と結論付けた。
 米軍といえども、このような思想・良心の自由、基本的人権を踏みにじるようなことは、国際法上からも許されるものではない。復帰前、本土と沖縄間の往来の自由は、米国民政府によって制限されていた。この日本国憲法違反を打ち破るためのたたかいが、沖縄と本土で連帯してたたかわれ、違憲訴訟としても提起された。問題の性格は、同じではないだろうか。駐車場の利用だからと軽視してよいものではないだろう。憲法違反の行為に同調した宜野湾市も道義的責任を問われるだろう。
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 普天間基地の返還は20年前に合意されているが、それに先行する形でこの普天間市民駐車場の土地の返還を宜野湾市は要求したことがあるのだろうか。この問題について、元宜野湾市長の伊波洋一さんにお会いする機会があり、伺った。“道路建設のため、他に先行して一部地域の返還を求めることはあるが、この場合、土地は地主に返還されるので、駐車場として引き続き使うということであれば、土地を買い上げるか、借りなければならない。その財源をどうするか、という問題がでてくるから、行政としては難しいのではないか”ということであった。なるほど、返還後の跡地利用という視点も併せて考えなくてはならない問題であった。