米兵女性暴行事件を考える(5)

   この民事訴訟の中で、印象に深く残っているのが、米軍上司と日本政府に米兵の監督責任があるという追及だった。
 米軍上司と日本政府の監督責任を考えるうえで参考になるのが、千葉県で幼児が野犬にかみ殺された事件の裁判である。野犬駆除をおこなっていればこのような事故は防げたはずで、県知事が権限を行使しなかったことにも責任があるという判決である。
 米兵を野犬扱いするつもりはない。しかし、米兵による凶悪犯罪が繰り返し起こっており、米軍上司や日本政府(県行政も含めて)が適切な対策を取っていれば、こうした事件・事故は未然にふせげるのではないか、あるいは激減できるのではないか。法的責任があるということが明確になれば、米軍の善意に基づく「研修」や「教育」ではなく、徹底した対策がとられるのではないか、と考える。
 基地の外に出て、酒を飲み、事件・事故を起こした場合、米兵も一人のおとなであるから、個人の責任ということはひとまず認めよう。しかし、100%そう言い切ることができるのか。
 なぜ米兵による凶悪犯罪が後を絶たないのか。米兵が置かれている実態も考慮されなくてはならないのではないか。