相模ダムと中国人強制連行関係資料(9)

資料6-4 佐々木氏の話

 

 K:大正館のほうでは毎朝、旗を上げて宮城遥拝をやったらしいですが、佐々木さんのところではどうでしたか。

 S:うちの方ではしなかったですねえ。そういうことはしなかった。朝は、まー、要するに朝礼はやったですよね。点呼をとるでしょお。朝礼やって、それで現場行って仕事をする前にある程度の体操だわねえ。あの柔軟体操のかわりに、まー、兵隊だからねえ、一応、八路軍のあれだから。あー、うちにおったのが大佐だったわねえ。隊長がね。まー、それに指示をとらしてある。そう、どのくらい広かったかな。まー、けっこう広い庭、おいといてね。そこであのあんまり苛酷にならん程度のオイチニイ、やらしたですわねえ。

 K:大正館の方では日の丸と汪精衛の旗を上げて、その旗の高さを同じにしろっていう要求があったらしいですが、こちらでは旗を上げるっていうこともなかったんですか。

 S:うちの方は日の丸だけだわね。

 K:日の丸だけですか。

 S:えー、向うの旗はいっさい関係ないですわね。日の丸の旗はちゃんと上げてね。国旗掲揚もやらしたですね。それは朝礼の時にね、んー。

 K:隊長ってのは、リーさんって方ですか。

S:んー、それは通訳だね。隊長の名まえは俺も忘れちゃったねえ。リーなんちゅったのか、それも忘れちゃった。俺は半島の方の管轄だからねえ。シナ人の方は俺は担当しなかったから。直接的なことは、ただ外面的に見ていただけでねえ。