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熊谷組与瀬作業所の孫式恒さんの証言(4)

 孫式恒さんの「回想録」は、個人の記憶であるから記憶違いなども含まれてはいるであろう。しかし、被害者本人の貴重な証言である。まずこの証言にしっかり耳を傾けるべきだろう。そのうえで、企業が作成した「就労顛末報告書」の個々の記述について確かめることやほかの証言(他の中国人被害者の証言ならびに地元証言)と対比することなどができれば、強制労働の実態はかなり明らかになるに違いない。それを目指して、相模湖の強制連行の調査に取り組んでいる会から説明を受け、資料も提供していただいた。

 インタビューの場所は、塩山県のあるレストランであった。すでに個室が予約されており、孫式恒さんの妹や息子・娘、孫と会食したのち、インタビューをした。孫式恒さんの家族からインタビュー後に、取材の目的を問われた。言外に補償問題をどう考えているかということがあったのだろう。それは、今年初めに相次いで中国国内で提訴が行われたが、いまだ裁判が開始されていない。この問題の難しさを認識されていて、言葉にされなかったのであろう。