天津在日殉難烈士紀念館を訪ねて(11)

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 ある本に「(帰国したもののうち若く健康な者は)国民党軍や警察に強制的に編入し、同胞が持ち帰った遺骨は天津郊外へ打ち捨てるという徹底した非人道的な態度」があったと書かれています。「国民党軍に強制的に編入し」ようとしたというのは、私も複数の証言を聞いています。しかし「遺骨を天津郊外に捨てさせ」たということは、初耳です。証言もしくは、档案資料があるのでしょうか。

 烈士紀念館の展示物のなかに、「在日死亡戦俘虜工之碑」(レプリカ)という国民党政府が建てた碑があります。この碑のことについては、これまで紀念館を訪れた人がインターネットで紹介していましたが、この碑文には、次のように書かれています。

 「市政府は本局に命じて、労工招待所を設け、労工を慰安した。生きているときには国難に遭い、死んでからは冷たい風にさらされた1500人の遺骨を永遠に慰める」

 これはどういうことでしょうか。「遺骨を郊外に捨てさせた」のではなく、埋葬し、慰霊のために碑をつくったということのようです。

 同館の職員に尋ねると、「紀念館の展示は、オープンするとき天津博物館の職員の協力を得てデザインされました。このレプリカも博物館から持ってきたものです。碑は天津博物館にあるはずです」とのことでした。

 急ぎ、天津博物館に向かいましたが、入館時間は過ぎてしまっており、この関係の専門家も不在とのことで、実物を見ることも、詳しい内容も確認できませんでした。