天津在日殉難烈士紀念館を訪ねて(3)

 「2822」ないし「2863」という送還時の数と、「2316」という現存の数の差が、中国の遺族に引き取られた数ということでしょうか。

 遺族が遺骨を引き取ったケースがどれくらいあったかという問いに、館スタッフは「水上公園時代、遺骨の引き取りを希望した遺族が引き取っていったことあったが、紀念館が社会施設に指定され、引き取ることはできなくなりました」と説明しました。

 以前は、近くの水上公園に紀念館がありましたが、2006年に新館がオープンし、遺骨もこちらに移ってきました。かつて遺骨の引き取りを希望する家族には引き渡すという公報が出されたことがあったらしいのですが、劉先生も館スタッフも知らないとのことでした。

 なぜ送還された遺骨が遺族に渡らなかったのか―。遺族に引き渡し、個人が管理することで遺骨が散逸するとスタッフはいいます。

 戦後70年近くたって、そういう考えを遺族が受け入れられるようになったということでしょうか。