地崎組石門・済南隊の31名の死亡事情について(16)

   強制連行・強制労働の犠牲者の遺骨を遺族に返す責任は、消滅したのでしょうか。日本政府と関係企業が、日本の法制度を根拠に「法的責任はない」と強弁できたとしても、人道主義にたてばこのまま何もしないで済ますことはできるのでしょうか。

   強制連行で命を落とした中国人の人数を外務書報告書は6830人としています。生存者が帰国時に持ち帰った遺骨と、9次にわたる送還で中国に届けられた遺骨2822人分(推定)を合わせてもなお、多数の遺骨が日本の地中に眠っていると考えざるをえない状況があります。遺骨送還では、その多くは、遺骨が遺族の元にまで届けられず、天津の労工紀念館に安置されました。その後、遺族が引き取りに行った場合もあるようですが、いずれにせよ、日本政府や連行企業が遺族にたいし、死亡事情の説明をしたことは皆無です。むろん、企業自身が決めていた弔慰金すら手渡されていません。