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「戦後遺留問題」をめぐる中国の動き(2)

 今年4月19日、中国の上海海事法院(裁判所)が商船三井所有の鉄鉱石運搬船浙江省の港で差し押さえた問題が起きました。商船三井は、供託金約40億円を支払っています。

 日中戦争前に中国企業が日本の海運会社に貸し出した2隻の船が、その後、日本軍に徴用され、結果として沈没したことから、中国企業経営者の親族が日本の海運会社を引き継いだジャパンラインを相手取り、賠償請求訴訟を起こしたという事案です。上海海事法院の発表では、後継会社である商船三井に対し29億1647万円の支払いを命じた判決が2010年に確定。親族と商船三井は和解交渉を続けたが不調となり、今回の差し押さえに至ったとなっています。

 中国国内では、対日賠償訴訟にあらたな展開をもたらしたと受け取る向きもありますが、中国外務省は、「中日戦争の賠償問題とは無関係」(秦剛報道局長)という見解を表明しています。ただ気になるのは、中国企業が船舶を貸し出した時期が1936年で日中全面戦争が開始された1937年7月7日(盧溝橋事件)より前ではあるが、1931年9月の満州事変より後という時期です。満州事変からアジア太平洋戦争までを日本の一連の侵略過程とみて、「15年戦争」という呼び名もありますので、中国外務省のこの見解は、日本との対立を避けようと意図して持ち出されたきらいがあるように感じます。