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イトムカ水銀鉱山における中毒症研究の系譜

  日本における水銀中毒症に関する事例報告・研究報告は、1906年以降、30ほどあるという。なかでも昭和29年の橋場によるイトムカ鉱山の水銀中毒に関する報告は当時の研究水準からみて第1級のものだったと、岸玲子・福地保馬は「イトムカ水銀鉱山における水銀中毒症研究の系譜」で紹介している。

これがイトムカの水銀中毒をとりあげた最初の研究とみていいのだろう。「系譜」は、それ以後のイトムカの水銀中毒にかんする研究をあげている。

「後遺症について(塵肺や職業癌についてはしばしば行われてきているが) , 金属鉱山の退職者について詳細な疫学研究がなされ, 水銀と高齢化による神経障害の複合影響が示唆されたのは初めてである. 土井を代表としてトヨタ財団から助成を受け実施した. 閉山とともに崩壊したイトムカ集落の社会構造, 本州への転職者と道内での転職者に見られる生活史, 家族史の差異など, 笹谷, 白樫らの地域社会学的研究, 家族社会学的分析など貴重な社会学的な研究の成果は財団研究報告会では高い評価を受けた. また閉山が経済成長期間中だったため, 転職そのものはうまく行ったが, 退職後の数年間は水銀中毒症状により, 転職先での労働に不安を感じたものが少なくないことも福地らの面接調査でわかった」

しかしいずれも論文としては未発表であるという。