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森田太三弁護士が中国での強制連行提訴に関して見解

中国の強制連行被害者が中国で相次いで起こしている提訴について、森田太三弁護士が4月15日付の日中友好新聞で見解をのべています。

 

中国での強制連行提訴について

                 森田太三弁護士

                 20140415日中友好新聞

中国の強制連行の被害者や遺族が三菱マテリアル日本コークス工業を相手に謝罪と損害賠償とを求め提訴していた訴訟を中国北京市1中級人民法院が受理したと報道されています。

今回の裁判の意義は、西松最高裁判決後も解決に真摯に向き合おうとしない企業に対し、被害者がやむなく自国の法院に司法的解決を求めたもので、これまでのいくつかの提訴に対し受理してこなかった中国の司法が正式に受理したことで、中国側の姿勢の変化も明らかになりました。

中国人強制連行被害者は、日本の全国の裁判で1996年以来闘われてきましたが、2007427日、西松建設株式会社を被告とする訴訟で最高裁判決が出て日本での裁判は決着をみました。

最高裁判決は、国と企業の強制連行強制労働の共同不法行為の事実認定を行い、日本で訴訟を起こす訴権は日中共同声明(1972)で失われたとしつつも、被害者個人の実体的権利は消滅していないとして国と企業を含む関係者の自主的な解決を期待するとの付言を行いました。

同判決に従えば、加害企業は自主的な解決の努力をすべきであったにもかかわらず、一部の企業を除いて企業はその努力を怠ってきました。今回の中国提訴は起こるべくして起こったとも考えられ、これによって、闘いの場は中国に大きく移っていくことになります。

とはいっても、日本国内での闘いがなくなるわけではありません。今回の被告は2社だけですが、解決の動きがこれに止まることはないでしょう。他の20社余りの企業への波及の可能性は大きく、そうなれば個々の企業だけでは対応できなく、経団連等の経済団体を含めた解決の枠組みを考えざるを得なくなります。そうなれば、日本政府も何らかの形で関与せざるを得なくなるでしょう。日本での運動が求められる所以です。

もともとこの問題は、日本に強制連行・強制労働させられた被害者ら約4万人の権利と尊厳を回復するための闘いですが、また同時に、この問題の解決によって、日本の正しい歴史認識を形成し、日本と中国ひいてはアジア諸国との友好と平和をつくり上げる闘いでもあったので、当然のことです。

しかし、中国法院で判決を求めることが唯一の解決方法であるかどうかは、いろいろな意見があるかもしれません。上記の目標のために、日中両国の歴史和解を成し遂げるため、この問題の正しい解決方法を探ってゆくことが必要です。

私たちは、20076月に企業と日本国を含めた基金方式の全面解決構想を発表しましたが、今でもこの解決構想は有効だと考えています。

(弁護士・中国人強制連行強制労働事件全国弁護団団長)