愛知における強制連行問題のとりくみ(24)

 中央日報20131031日がパク・ハンチョル憲法裁判所長の米国ハーバード大学での講演を紹介しています。どの程度、正確に報じているかは分かりませんが、日韓請求権協定について韓国の裁判所がどう見ているかを知る上で参考になると思い、転載します。

 

 パク・ハンチョル憲法裁判所長が米国ハーバード大学で、日本軍の慰安婦強制動員の過去の歴史を否定している日本政府を痛烈に批判した。29日(米国時間)、米国マサチューセッツケンブリッジにあるハーバード大ロースクールで行った「女性人権侵害回復のための国家の義務」というテーマの特講からだ。この日の彼の講演は、2011年8月30日に憲法裁判所が下した宣告を説明する場であった。当時、憲法裁判所は第2次世界大戦の時に日本軍に連行されて行った韓国人慰安婦が日本政府に対して正当な賠償請求権を有しているにもかかわらず、韓国政府が日本政府とこれに関する交渉を進めないのは違憲だと判決した。 パク所長は「日本は慰安婦の存在をずっと否定してきて、被害者の証言や関連資料が相次いで出るとすぐに1993年の河野官房長官の談話を通じて慰安婦の強制動員を認めて謝罪した」と説明した。しかし20年が過ぎるまで慰安婦への被害補償はなされなかったし、最近では「河野談話さえ修正しようとする主張がある」として日本の安倍晋三政権を狙った。彼は憲法裁判所の宣告後、韓国政府が交渉をしようという外交文書を2度も送ったが、日本政府は何の答も出さないでいると指摘した。 彼は、65年に締結した韓日請求権協定で、慰安婦の補償問題が全て解決されたものと見るという日本政府の立場に対しても逐一反論した。何より協定締結当時には慰安婦問題が議論にさえならなかったとのことだ。慰安婦問題が大きくなってきたのは90年代の被害者の証言が出てきてからだ。パク所長は「その上、韓日請求権協定は両国間の財政的・民事的債権・債務関係の解決に限定されたものだった」として「日本政府が介入した戦争犯罪にまでフタをするものではない」と強調した。さらに「68年の国連決議第2391号には、戦争犯罪および人道に反する罪の場合は控訴時効がない」と確認した。 その上、韓日請求権協定3条は両国間の補償に関した紛争が起きた場合、これを解決するための手続きも規定している。したがって慰安婦問題が提起された以上、韓国政府は日本政府を相手にこの解決のための外交的努力をしなければならない義務がある。しかしこれまで、これを放棄したのは国家の当然の義務を履行せず違憲だというのが2011年憲法裁判所の判決だと紹介した。 パク所長は第2次世界大戦後のドイツ政府の過去の歴史に対する謝罪措置も例に挙げた。フランスとドイツも戦争後に被害補償交渉を始めて60年、「ナチ迫害で被害をこうむったフランス国民のための支払いに関する条約」を締結して4億マルクを補償した。この条約3条にもフランス人被害者に対するすべての請求権はこの条約で完結するという規定を置いた。しかしその後ドイツに強制徴集されたフランス労働者の被害が追加で分かり、フランス国内世論が沸き立った。するとドイツは2000年に政府と企業が共同で100億マルク(約5兆4000億ウォン、約5027億円)の「記憶、責任そして未来」基金を作って強制徴集労働者に補償するようにした。

これとは違って、日本政府は河野談話を通じて慰安婦強制動員を認めておきながら、これに対する政府レベルの謝罪どころか補償にも出ないでいると批判した。パク所長は特に「現在、生存している韓国人慰安婦の被害者が56人に過ぎず皆高齢であり、これが日本の迅速な被害補償と率直な謝罪が要求される理由」と力説した。パク所長の特講は今年5月に憲法裁判所を訪問したハーバード大ロースクールのマーサ・ミノー学長の要請で行われた。