愛知における強制連行問題のとりくみ(23)

“韓国人の戦争被害にたいする賠償問題は、日韓請求権協定により解決済み”というのが、これまで日本政府が繰り返し主張してきたことです。日本経団連なども116日に「両国の経済関係を損ないかねない」とする共同声明を発表しています。

そして1229日、日本政府は韓国側に、日本企業による戦時中の徴用に対する個人請求権訴訟について「和解に応じない」との方針を伝えたことが分かったと報じられました。

その報道では、<日韓両政府は7月以降、実務者が東京とソウルを往復し、最高裁判決が出た場合の対処方針を協議。日本側は敗訴判決が確定した場合「明確な国際法違反になる」と指摘してきた。 韓国側は「三権分立の原則から、政府は司法判断を尊重せざるを得ない」としながらも、政府間で一度結んだ協定を一方的に覆す行為を「国際社会の信用を損ないかねない」と懸念。日本企業が原告側に見舞金を支払うことなどで和解し、判決を回避できないかと暗に打診してきたという。しかし日本側は「韓国側に金銭を支払えば、請求権協定の趣旨を日本側から否定しかねない」(外務省幹部)と反発。菅義偉官房長官岸田文雄外相は、(1)判決前の和解には応じない(2)敗訴判決が確定し、韓国側が日本企業の資産差し押さえに出た場合は、日韓請求権協定に基づいて協議を呼びかける(3)協議が不調に終わった場合は国際司法裁判所(ICJ)へ提訴する-との方針を確認した。>と説明しています。

 

この日本政府の対応で、戦争被害に対する補償問題は解決するでしょうか。韓国、中国、東南アジアの人々にたいし、あなたの国は請求権協定で請求権を放棄しているのだからがまんしなさいということが、いつまで通用するでしょうか。日韓請求権協定が結ばれたときは、日本軍「慰安婦」問題はまったく知られていなかったし、強制徴用問題もあまり注目されていなかった。その後の歴史研究と市民運動、裁判闘争のなかで、それらの実態が解明されていくなかで、被害者の要求は、解決されなければならない問題と認識されるようになってきた、請求権協定を乗り越えて問題を解決すべき社会になりつつあるという時代の流れに真っ向から対立しているように思います。