地崎組東川事業所日誌 巡回検診と体重検査(1)

巡回検診と体重検査

極寒の地で水につかっての遊水地工事で、地崎組は連行してきた中国人の生命と健康にどう責任を果たしたのだろう。

地元の医師による往診がたびたびあったこと、ときには注射もしていることが日誌には記述されていることは、各月の日誌を読んでいく中で確認した。医師の診断によって、病気療養中の者が働けるといわれ、作業場に駆り出されたことも事実である。しかしこの点については、医師の役割よりも企業が医師の診断結果を使って、病気の中国人に労働にでるように迫ったことにこそ、目を向けるべきであろう。

地崎組の事業場報告書は、「公傷としては二名の凍傷患者を出せるも軽患なり。原因としては気候の不慣れと皮膚の甚だ弱きものにして侵されたるものと断ぜらる」と書いているが、使用者としての安全配慮義務にたいする自覚のかけらも感じさせない記述である。