『愛知・大府飛行場における中国人強制連行・強制労働』が出版(1)

 『愛知・大府飛行場における中国人強制連行・強制労働』という調査報告書が出版されました。発行は、「愛知・大府飛行場中国人強制連行被害者を支援する会」。

〔本書の主な内容〕

・大府飛行場中国人強制連行・強制労働問題の概要について 南守夫(愛知教育大学元教授)

宋学海・許東民・張玉柱についての調査報告       劉宝辰(中国河北大学教授)

・「大府飛行場」強制連行の現場からの報告        西秀成(愛知県史特別編纂委員)

岩田地崎建設への謝罪と補償を求める取り組み      南守夫

 上記の諸論考のほか、地崎組(現・岩田地崎建設)が外務省に提出した報告書全文も収められています。

 領価1500円で、連絡先は(事務局)日中友好協会愛知県連合会内

             〒464-0821 名古屋市千種区末盛通4-18

             ℡052-763-1152 FAX052-763-1153

 改訂増補版で、旧版が大幅に改定されていますが、それはこの数年間の調査が進んだことによるものです。

 たとえば「概要について」では、中国の被害者のうち孔繁河という山東省の被害者も旧版後に聞き取りが行われ、今回改訂に盛り込まれました。大府に連行された中国人は二つのグループから成っています。一つは、河北省石家荘(当時・石門)収容所から連行された296人(青島乗船時)と山東省済南収容所から連行された200人。彼らは、山東省青島から同じ船で日本に運ばれ、山口県下関に上陸。最初の労働現場である北海道留辺蘂に連行されました。ここには、このブログでも紹介したイトムカ水銀鉱山があります。このあと「石門隊」は留辺蘂の近くの置戸に移動させられ、そののち愛知県の大府飛行場(現・東海市大府市にまたがる)に再移動しました。他方、「済南隊」は留辺蘂から直接、大府に移動しました。終戦直前に両隊とも北海道赤平市の平岸に移動しました。両隊は、ほとんど同じ現場で強制労働をさせられていますが、お互いの交流もあまりなかったようで、被害者証言は両隊から得る必要がありました。

 また、北海道の労働現場についての調査も旧版以後に行われました。