井華赤平の李清文さんの証言（３）

井華赤平の李清文さんは、逃亡した仲間がリンチを受けたことも証言しています。

赤平の冬はとても寒い。昼間でも綿の服を着ていなければ我慢できないほどだ。腹一杯にならなくて、着る服は温かくなく、なぐられ虐待された。だから脱走しようとする者がいた。孫吉什、葛学林、武中培の3人は、山の上で仕事をする機会に乗じて逃走した。しかしすぐに捕まり連れ戻された。日本人は彼らを殴る時、私達に見せた。ベルトで鞭打ち、食事をさせず、3日間監禁し、ようやく出し、そのあと引き続き働かせた。

日本で1年余り働いた。ある日、日本人は私達に仕事をさせなかった。それから日本の放送は、日本が投降したことを報道した。それ以後、私達の生活はよくなり、米、小麦粉が食べられた。

1945年11月、私達は下関で米国の船に乗って帰国し、7日後に塘沽に着いた。日本から帰って来る時、日本人は私達にわずかばかりのお金を出した。帰国した後、天津で両替した。30元ぐらいで、全部で3斗のトウモロコシを買った。

(何海、刘力椅2001年7月15日走访， 李爱军整理)

注：帰国にあたって30元ぐらいを受け取ったと言っていますが、1元15円とすると450円です。当時、日本政府は「移入華人」の給与を1日5円としていますから、90日分ということになります。1年余り働いたことに見合う額ではなく、企業が賃金を支払ったとはとてもいえません。帰国に必要な交通費と帰国直後の当座の生活費といったところでしょうか。李さんは、故郷に帰って収入を得られるまでのあいだに必要な食糧を確保すべく、30元をトウモロコシに換えたのでしょう。